CAEを普段使ってない人にとって、どんな場面で使えるのか迷うことがあるのではないでしょうか。特に公開されている解析事例は見栄えが良く、解析難易度の高いものが多く、CAEがとてもハードルが高いものに感じてしまうかもしれません。
しかし、実際はシンプルな問題の検証にも、たくさん使われています。今回はシンプルなモデルでCAEを使った設計ストーリーをご紹介します。
COLUMN
技術コラム
【構造】ひろこの部屋vol.16 軽くて強いブラケットを作ろう!
ブラケットの補強を考える
今回検討するモデルは右図のブラケットです。
ふたつのボルト穴で壁に固定し、上部に100Nの力を加えます。
まずは現状を把握するために、このモデルで解析を行ってみましょう
モデル1:スタート形状 / 質量:36g
最大 von Mises応力 68.9MPa | 最大変位 120.5mm |
なお、このモデルは変形量が大きく、計算中にエラーが出ています。値は線形静解析理論で算出した参考値です。
では最大von Mises応力10MPa、最大変位0.5㎜を目標として設計案を検討してみましょう。今の数値との乖離が大きく、板厚を上げるだけでは厳しそうです。
ボルト穴を残して補強する
モデル2:補強案その1
まずは、ボルト穴を残して上部斜め方向に補強するモデルを考えてみました。しかし、最大変位が7.6㎜と大きく、目標値が遥か彼方にあります。
そもそも、目標設定が・・・。という声も聞こえてきそうですが、発想の転換。ボルト固定から壁面固定に切り替え、ボルト穴部分まで大胆に埋める形状を考えてみましょう。
ボルト穴を埋めて目標値クリアを目指す
右図のようにボルト穴の部分まで肉付けして、目標値がクリアできるか確認します。ここで目標値をクリアできない場合は荷重の分散、材料の見直しなど形状変更以外の方法を考える必要が出てきます。
モデル3:肉付け形状 / 質量:223g
最大 von Mises応力 4.0MPa | 最大変位 0.3mm |
さすがにここまで肉付けすると目標値を到達できそうです。応力値はまだ余裕があるので、軽量化の余地がありそうです。
軽量化をするにあたり、応力の等値面表示(右図)が便利です。ある値より応力の高い領域を表示することで非表示領域を肉抜きの目安とすることができます。
軽量化したモデル
等値面の結果をもとに作成した右のモデルで同様に数値を確認してみましょう。
モデル4:軽量化形状 / 質量:156g
最大 von Mises応力 3.9MPa | 最大変位 0.4mm |
ひとつまえの形状(モデル3:肉付け形状)に対して69%の質量で最大応力はほとんど変わりませんでした。強度的に影響の小さい部分を効率よく減らせたことが分かります。
目標値に対してまだ余裕があるので、再度同じ方法を行うことも可能ですが、等値面の結果が複雑になり軽量化の難易度は上がります。また、この状態から軽量化を追い込むと応力または変位のいずれかが目標値を満たさないケースが増えてくることが予想されます。
今回はこの結果をゴールといたします。
軽量化の試行錯誤を自動化する
最後に、構造最適化ツールHiramekiWorksでの軽量化結果を共有いたします。
今回は厚み方向に一様断面の制約を付けて、剛性最大化、質量比低減でトポロジー最適化を実施しました。
トポロジー最適化の結果 123g | 反映したモデル図 125g |
モデル5:トポロジー最適化実施形状 / 質量:125g
最大von Mises応力 9.9MPa | 最大変位 0.4mm |
今回のゴールとした質量から30g軽量化して目標値をクリアすることができました。
モデル3:肉付け形状から最適化計算を始めて5分弱で結果が得られています。
等値面戦法では穴を2つに区切る梁形状を導くことはできませんでしたが、同じ形状から力学的にアプローチしているので傾向は似てきます。このようにCAEツールを使うことで試行錯誤の結果を見える化し、理にかなった設計案を導くことが可能です。
次回もCAEを使った設計アプローチ、第2弾をご紹介します。
[From H. Horiuchi]
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