今回の流体技術コラムでは曲がる流路(エルボ・ベンド)の圧力損失、及びベンド管の整流板の効果について検証を行います。
COLUMN
技術コラム
【流体】熱と流れの不思議vol.4 圧力損失③~エルボ・ベンド~
エルボとベンド
■エルボ
図1の様な急な方向変化のある管路をエルボと呼びます。流れはコーナー部分から剥離して渦を作る為、方向変化の前後で大きな圧力損失を生じます。
■ベンド
図2のような曲率半径を持つ管路をベンドと呼びます。流体は漸次方向が変化してくため、エルボと比較して圧力損失は小さくなります。
曲がる管内の局所損失
エルボとベンドの局所損失は実験的に求められています。
■エルボ
■ベンド
検証1
コーナーをエルボにした管路と、ベンドにした管路の2モデルを用意し、シミュレーションで計算した圧力損失の値と内部の流れの状態を比較します。
■解析条件
■解析結果
▶エルボ
圧力損失 [Pa] 157164.78
▶ベンド
圧力損失 [Pa] 81172.34
エルボの圧力損失は157 kPaであるのに対し、ベンドの圧力損失は81 kPaと、約2倍の差が出ました。
内部の流れを比較してもエルボの方が大きな渦が発生していることが分かります。
検証2
検証2では、ベンド管の管路内に整流板を取り付けた場合の流れをシミュレーションで計算し、圧力損失と流れの状態を整流板無しのモデルと比較します。
整流板は流体の流れを整え、圧力損失を抑える効果が有ります。整流板を取り付けたCAD形状を以下に示します。
■計算結果
検証1と同じ条件でシミュレーションした結果を以下に示します。
▶ベンド(整流板無し)
圧力損失 [Pa] 81172.34
▶ベンド(整流板有り)
圧力損失 [Pa] 46229.56
整流板が無い場合の圧力損失は81 kPaであるのに対し、整流板を設けると圧力損失は約1/2の 46 kPaとなりました。
流れ場を比較すると、整流板によって渦の発生が抑えられている事が確認できます。
まとめ
今回の技術コラムでは圧力損失の内、曲がり管の圧力損失について検証を行いました。
エルボ・ベント(整流板無し)・ベント(整流板有り)の3モデルにおける圧力損失をシミュレーションで計算した結果を以下の表にまとめます。
エルボ | ベンド(整流板無し) | ベンド(整流板有り) | |
圧力損失(kPa) | 157 kPa | 81 kPa | 46 kPa |
エルボとベンドの圧力損失は約2倍の差が生じており、ベンド(整流板無し)とベンド(整流板有り)も約2倍の差が生じるという結果になりました。
整流板は流れの乱れを抑え、圧力損失の抑制に有効であることが確認できました。シミュレーションを用いることで、今回のようなエルボ・ベンドの曲がり角度による圧力損失の予測だけでなく整流板の最適な寸法を検討する事も可能です。
[From K.Okano]
関連製品
3次元CAD統合型 熱流体解析ソフトウェア|Simcenter FLOEFDシリーズ
https://www.sbd.jp/products/flow/floefd.html
熱設計支援サービス
https://www.sbd.jp/consulting/thermal_design_consulting.html
内径 | 500㎜ |
---|---|
曲がり角度 | 90° |
曲率半径(ベンド) | 300㎜ |
流入速度 | 20m/s |
流出部圧力 | 101325 Pa |
流体密度 | 1000 kg/ |
第1・第3木曜日配信!
SBDメールマガジンより、
最新の技術コラムをお届けします。
Analysis Case
解析事例
Analysis Case
解析事例
解析事例
Topics
トピックス
イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2024年10月08日
2024年08月27日
2024年08月26日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2024年10月01日
2024年10月01日
2024年09月24日
Topics
トピックス
トピックス
イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2024年10月08日
2024年08月27日
2024年08月26日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2024年10月01日
2024年10月01日
2024年09月24日