今回の流体コラムでは、熱流体解析ソフトSimcenter FLOEFDを使用し、強制空冷機器の筐体内部にダクトを取り付けることによる素子温度の変化を検証します。
COLUMN
技術コラム
【流体】熱と流れの不思議vol.11 強制空冷機器におけるダクトの効果について
強制空冷と自然空冷の違いについて
強制空冷機器と自然空冷機器では大きく異なる点が2つあります。
①自然空冷では熱い部分に浮力が働き、流れが発生しますが、強制空冷では流体の流れやすいところ(通風抵抗が小さい)に流れが発生します。
②自然空冷では通風口を増やせば換気量が増えて温度が下がりますが、強制空冷では通風口を増やしすぎると風速が小さくなり、温度が上がります。
自然空冷では自助作用で温度が下がるため、流れを邪魔しないように設計しますが、強制空冷では温度が上がりそうな場所を予測して、積極的に流れを作らなくてはなりません。
例えば、図表1に示すような自然空冷機器では筐体上下に必要な通風口を設けるだけで基板は自己冷却します。発熱体の無い部分に空気は流れません。しかし、図表2に示す通りファンをつけて強制空冷すると空気は流れやすいところを流れます。よって発熱体の実装密度の高い部分では空気は流れにくくなり、発熱体の温度は高温になります。
強制空冷機器において、ファンで駆動した流体が発熱体を迂回してしまう問題については、図表3のようにダクトを設けることで改善を図ることができます。今回は筐体にダクトを設けることによる基板に搭載された素子の温度上昇の変化を検証します。
▲図表1 自然空冷機器 | ▲図表2 強制空冷機器 | ▲図表3 強制空冷機器(ダクトあり) |
解析概要
今回の解析では、通風口と吐き出しファンを設けた筐体(150㎜×130㎜×110㎜)、
及び発熱体のチップ(21㎜×7㎜×3㎜)×8とチップを支持する基板(80㎜×80㎜×1㎜)×7を等間隔で配置した形状を使用し、8枚のチップの平均固体温度と空気の流れを評価します。
▲図表4 解析モデル
▲図表5 解析条件
解析パターン
ダクトありとダクトなしでチップの固体平均温度を比較します。
▲図表6 ダクトなし | ▲図表7 ダクトあり |
▲図表8 部品名
解析結果
〇チップ平均固体温度・温度上昇 結果(環境温度:20℃)
▲図表9 チップ温度上昇 結果(環境温度:20℃) |
温度上昇差はEが最も大きく(17.4℃、34%)、Bが最も小さい結果となりました。(13.7℃、30%)
▲図表10 断面プロット(速度) 上面視 結果 |
▲図表11 サーフェスプロット(温度) 結果 |
まとめ
今回の流体コラムでは強制空冷機器の筐体内部にダクトを取り付けることによる素子温度の変化を検証しました。解析の結果から、筐体にダクトを設けることで温度上昇が約30%低減することを確認しました。今回の様な筐体内基板の強制空冷では、ダクトなどを用いて発熱体に空気が流れるように誘導しておかなければなりません。同様にヒートシンクをダクトに入れてファンで冷却する構造でも、ダクトとヒートシンクの間に隙間があると空気の迂回によってフィン間の流速が低下し、ヒートシンクの性能が悪化します。隙間に空気が流れないよう、流れの迂回路をカットしておく必要があります。
このような流れの迂回は強制空冷機器で発生する特徴的な事象であり、流れを予測しながら慎重に流路を設計しなければなりません。
[From K.Okano]
〇解析条件 | |
---|---|
発熱源 | 0.5W×56個 |
基板の熱伝導率 | 16.5 W/(m・K)(面内), 0.25 W/(m・K)(面外) |
チップの熱伝導率 | 0.4 W/(m・K) |
環境温度 | 20 ℃ |
ファン性能 | Qmax : 0.169 m/min,Pmax : 40 Pa |
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