今回は混合機の選定事例を紹介させていただきます。
CASE
技術コラム
【粉体】粉体シミュレーションの解析事例 vol.5 混合機の選定事例
背景
混合プロセスにおいては、混合機の種類、混合物の特性や運転条件などが混合効率に大きく影響します。
実験で全ての項目を検証するためには、複数の設備が必要となり、検証のために多くの時間と費用がかかってきます。
代わりに、iGRAFで解析すると複数の設備を容易に評価することができます。
目的
iGRAFで複数の混合機から、最も効率が高い混合機を選定します。
解析モデル
同様な粉体材料「図1」を使用して、下記4種類の混合機を検討します。

図1
![]() |
![]() |
V型混合機 |
リボンミキサー |
![]() |
![]() |
竪型混合機 |
プローシェアミキサー |
混合機の運転条件を検討する際には、フルード数「図2」が1つの指標となります。
フルード数とは、重力と慣性力(遠心力)のバランスを表す数値であり、1より小さい場合には、重力の影響の方が大きいため粒子は落下します。
一方で、1より大きい場合には、遠心力の影響の方が大きいため、落下しないことを意味します。

図2
推奨されるフルード数は、混合機の種類により異なります。V型混合機とリボンミキサーはフルード数が1より小さい値が推奨されます。
一方で、付着性がある粉体に使われる竪型混合機やプローシェアミキサーはフルード数が1より大きい値が推奨されます。
今回は、各混合機の混合効率を評価するため、フルード数は0.58で固定して解析を行いました「図3」。
その他に、混合機の容器及び材料の仕込み量も全ての混合機で合わせています。
仕込み量は、36.6gと73.3gの2パターンで設定しました。

図3
解析結果および考察
下記は各混合機において、36.6gの場合の解析結果となります。
容器内に充填した粉体層の下半分をグレーに、上半分を黒に色付けています。
リボンミキサーとプローシェアミキサーでは、運転してすぐに混合していく様子が分かると思います。
竪型混合機も少し時間が経過すると混合されていきます。
一方で、V型混合機は混合が進むスピードが遅く、あまり混合されません。
V型混合機「36.6g」 |
リボンミキサー「36.6g」 |
竪型混合機「36.6g」 |
プローシェアミキサー「36.6g」 |
また、混合評価に用いるLacey’s mixing indexを確認してみた結果がこちらになります「図4」。
縦軸がMixing Indexで横軸が時間になります。
Mixing Indexは0から1の値を取り、0の場合には全く混合されておらず、1の場合に完全に混合されている状態を示します。
上記の動画で確認した通り、運転開始直後にリボンミキサー、プローシェアミキサー、竪型混合機のMixing Indexの値が上昇することが分かります。
一方で、V型混合機のMixing Indexの上昇は緩やかで、その他の混合機に比べると混合性能が低いことが分かります。

図4
続いて、粉体の仕込み量を73.3gにした結果を示します。
リボンミキサー、プローシェアミキサーは、仕込み量が半分の時と同様に運転開始直後から混合が進む様子が確認できます。
V型混合機も仕込み量が半分の時と同様にあまり混合が進まない状態となっています。
一方で、竪型混合機は仕込み量が半分の時には、混合効率が高かったのに対して仕込み量を増やすことで混合効率が下がっていることが分かります。
V型混合機「73.3g」 |
リボンミキサー「73.3g」 |
竪型混合機「73.3g」 |
プローシェアミキサー「73.3g」 |
こちらは、仕込み量を増やした際のMixing Indexの結果となります。
結画でも確認したように竪型混合機のMixing Indexの上昇が緩やかになり、V型混合機とほぼ同じ傾向になっています。
また、結画では、リボンミキサーとプロ―シェアミキサーでは、同様に混合されていく様子を確認できましたが、Mixing Indexを確認するとプロ―シェアミキサーの混合効率の方が高いことが分かります。

図5
iGRAFの解析により、今回の粉体材料には、せん断ミキサーが最も適した混合機であることが分かります。
[From L. Chiew]
第1・第3木曜日配信!
SBDメールマガジンより、
最新の技術コラムをお届けします。
Analysis Case
解析事例
Analysis Case
解析事例
解析事例


Topics
トピックス
イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2024年10月08日
2024年08月27日
2024年08月26日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2024年10月01日
2024年10月01日
2024年09月24日
Topics
トピックス
トピックス


イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2024年10月08日
2024年08月27日
2024年08月26日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2024年10月01日
2024年10月01日
2024年09月24日