前回は 剛性最大化 について触れました。
今回は目的関数としての最大ミーゼス応力最小化について書いてみます。
まずは簡単に用語の整理から始めます。
COLUMN
技術コラム
【構造最適化】目的関数 vol.2 剛性最大化と最大ミーゼス応力最小化
『目的関数』と『制約関数』について
『目的関数』とは剛性最大化、最大ミーゼス応力最小化、最大変位最小化など、特定の関数の値を最大または最小にする、といったものになります。
一方、『制約関数』とは、最大ミーゼス応力が5 MPa以下、最大変位が0.2 mm以下など、特定の関数の値の範囲を指定するものになります。
従って、『目的関数としての最大ミーゼス応力最小化』は、ある制約条件のもとで最大ミーゼス応力が最も小さくなる形状を求めるものであり、『制約関数としての最大ミーゼス応力の規定』は、具体的に指定した値以下にしなさいという意味で、両者は似て非なるものです。
『目的関数としての最大ミーゼス応力最小化』について
最大ミーゼス応力の最小化問題において、領域内の最大ミーゼス応力は次のように表されます。

ここで、はミーゼス応力、は規格化のための定数を表します。
この値を最小化することが目的となるわけですが、このままでは局所的に微分不可能となる可能性もありますので、次のように積分系に変形して扱います。

次のようなデータ(Table 1)に対して、式(2.2)を適用した結果を見てみましょう。
Table 1 10個のデータ
Table 2 結果
Table 2に示したように、ρの値を大きくするにつれて、Table 1のデータの中で最大値となる5番目の値に近い数字を抽出できています。
このようにして抽出した値が最小となるように、形状を変更していくのが『目的関数としての最大ミーゼス応力最小化』です。
『目的関数としての剛性最大化』との違いについて
前回の記事でも述べた通り、剛性最大化では実際に応力を見ているのではなく、物体に蓄えられたひずみエネルギーの最小化を目的関数に置き換えて計算しています。
それに比べて、今回ご説明した最大ミーゼス応力最小化では、抽出された最大値の部分にフォーカスして、その部分の応力を下げるような目的関数となっています。
従って、局所的に改善したい部分がある場合は最大ミーゼス応力最小化を、全体的に改善したい場合には剛性最大化と、適切に使い分けることによって、より目的に即した解析結果が得られます。
次回予告
次回はトポロジー最適化と形状最適化を組み合わせた事例をご紹介します。
[From K.Takabatake]
データID | 値 |
---|---|
1 | 0.319924707 |
2 | 0.664908535 |
3 | 0.667030147 |
4 | 0.351031789 |
5 | 1 |
6 | 0.436483894 |
7 | 0.621835531 |
8 | 0.307769955 |
9 | 0.592795642 |
10 | 0.06014546 |
ρ | 値 |
---|---|
1 | 2.84 |
5 | 1.12 |
10 | 1.01 |
50 | 1.00 |
100 | 1.00 |
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