解析初心者が注意すべきポイントに特異点があります。
今回のコラムでは、特異点についての説明、注意点と避けるための改善案について解説します。
COLUMN
技術コラム
【構造】Vol.1 解析結果のみかた〜特異点ってなに〜?
はじめに
〇CAE解析を始めたころ
CAE解析に関わりはじめたころ、「理論面も含めて難しいなぁ」と敷居が高く感じていたことを今でも覚えています。
業務ですぐに使えるようにするべく、当時練習でよくやっていたことは「身近で気になっている現象について解析モデルを作成→解析が収束するか確認→解析結果の評価」この繰り返しです。自分で作ったモデルで解析結果(それらしい結果のコンター図)が初めてできたときの気持ちは今でも忘れられません。
〇モデルを作る技術は上達したが、、
モデルの作り方についての知識はついてきましたが、程なくして最初の壁にぶつかります。当時、私はノッチ加工(刻み目、切込み、切り抜き、くぼみ)を付けたモデルの応力解析をしていました。問題なく解析は完了し、コンター図においてミーゼス応力が一番高いところの値を”最大応力値”として先輩社員に報告しました。ですが、返ってきた言葉は「応力値評価に使うのは、そのポイントでいいのか?」。どういうことかわからず、若干混乱したことを覚えています。
当時解析していたモデル
解析したモデルを簡略化するために抜粋したものを以下に示します。図のようなモデルの上部中央に切り込みを入れた板の側面を面直方向に引っ張って、その時にどんな応力のかかり方をするのかを調べていきます。
〇モデル形状、境界条件
解析結果
解析結果から、切り込みの根本の部分を中心に応力が発生しやすいことがわかると思います。このような切り込みに見られる直角のコーナーのポイントでは応力が集中しやすいということがわかります。実際に試験した結果と同じ傾向だったということもあり、下図の拡大した箇所の赤色になっている部分でミーゼス応力が一番高いところの値を最大応力値として、当時は考えていました。
局所的に応力が高く出てしまう形状?
最大ミーゼス応力が発生している箇所の応力分布を詳細に調べたいので、メッシュサイズを細かくして見ていきたいと思います。前項で示した結果における、メッシュの細かさ、ミーゼス応力を1とした場合、メッシュの細かさを変更した場合のミーゼス応力との関係性は以下のグラフの通りになります。
最大のミーゼス応力値はメッシュサイズが細かくなるにつれ、どんどん高くなっています。
下のメッシュを細かくした場合のコンター図を見ていただくと、ミーゼス応力のコンター図の赤色部分が切り目の根本の部分に集約されていることがわかると思います。このようにメッシュの条件を変えることで、おかしな解析結果であることに気づきます。
特異点
このようなポイントをCAE解析では”特異点”と呼びます。今回のような形状は解析する前に認識しておきたいポイントであり、下図のようにフィレットを用いることで特異点となる形状を回避し応力値が収束しやすくなります。
今回の切り込み形状もその一例ですが、他には以下の箇所も特異点になりえます。
・拘束箇所と非拘束箇所の境目
・集中荷重をかけている箇所
これらについても、特異点周辺での応力評価を避けるといった方法で、できる限り特異点の影響を避けていく必要があります。いずれにしても、モデルの形状、最初に行った解析結果をよく見たうえで、ここまで話してきた特異点が存在しないかを確認したうえで、進めていただければと思います。
最後に
解析をするうえで間違ったモデルの作り方、結果の見方で解析を進めてしまうと、後々の手戻りにもつながってしまい、業務進行の妨げにもつながると思います。問題を解くためのモデル作成技術、だけでなく結果の見方を習得することで、解析業務をスムーズに進めていただくことにつながると思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
[From K. Mikuni]
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