前回、構造内部に作用している力ベクトルから、応力テンソル(マトリックス)を定義しました。
力ベクトルは3方向の値ですが、評価面に作用する表面力としては、各3方向の面に作用する3方向の力として、3×3 のマトリックスの形で表現されるものでした。
そして、マトリックスを座標変換(座標変換しても物理的意味は変わらない)すると、マトリックスの各応力成分の値が変わり、ある座標方向では、対角項のみ(非対角項が0)の成分で表現できます。
これは、主軸方向の力成分を表しており、3方向の力の本質を表しています。
COLUMN
技術コラム
【構造】製品設計/強度設計の基本講座シリーズ vol.3 応力テンソルの不変量と材料強度
応力テンソルの不変量
上記で、座標変換により応力成分の値は変わると言いましたが、座標変換しても変わらない量があります。
結果から示しますと、、、 の3つの量となります。応力成分(ijk の総和規約)であらわしていますが、主応力で表示すると一番右側の項となります。
この量を応力の基本不変量といいます。
平均応力と偏差応力との分離
ここで、不変量 の 1/3 の値を持った対角行列(平均応力テンソル σm)を定義します。
応力テンソルから平均応力テンソルを引いた残りのテンソルは、偏差応力テンソル(s)と呼ばれます。
偏差応力テンソルは、固有値が σm だけ小さいだけで、主軸方向は変わりませんので、主応力表現では、以下となります。
この偏差応力テンソルの不変量を改めて,,と定義します。
それぞれの関係を、主応力空間(3直交軸が3つの主応力)で、表すと右図になります。
平均応力は、(1,1,1)の方向に一致します。偏差応力は、応力から平均応力を引いたもので、平均応力と直交することから、等方的な応力とは無関係な純せん断応力を表しているといえます。
不変量と材料強度
偏差応力テンソルの3つの量のうち、 はせん断成分の大きさを表しており、この値が材料のある限界を超えるとせん断破損(転移)が起きるとして評価して良さそうです。
更に、一軸引張試験より得られる材料の応力値と直接比較できるように、の補正をして定義されたのが、ミーゼスの相当応力です。
定義式から、+ の絶対値を持ち、材料の降伏が生じる応力値として設計で使われています。
せん断成分の最大値(-)/2 もせん断損傷に影響しますが、材料の許容せん断応力値はなかなか測定できないので、一軸引張応力値と比較するために、応力強さ(-) が用いられます。
更に、主応力値の不変量 は、材料の引張破損、圧縮破損に関係しますので、せん断(転移)損傷よりも へき壊や圧壊が起こりやすい脆性材料に使用されます。
[From N. Sahashi]
第1・第3木曜日配信!
SBDメールマガジンより、
最新の技術コラムをお届けします。
Analysis Case
解析事例
Analysis Case
解析事例
解析事例
Topics
トピックス
イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2024年10月08日
2024年08月27日
2024年08月26日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2024年10月01日
2024年10月01日
2024年09月24日
Topics
トピックス
トピックス
イベント・セミナー
シミュレーションに関するイベント・セミナー情報をお届けいたします。
2024年10月08日
2024年08月27日
2024年08月26日
トレーニング
SBD製品各種の操作トレーニングを開催しております。
2022年11月02日
2022年03月04日
2022年03月04日
技術コラム
シミュレーションに関する基礎知識や、製品の技術的なノウハウが満載の技術コラムをお届けいたします。
2024年10月01日
2024年10月01日
2024年09月24日