線形静解析(参考:【構造】ひろこの部屋Vol.2)では問題を単純化し計算負荷を抑えることができます。一方、実現象の多くは非線形の現象で、線形静解析で得られた結果と実現象が合わないこともあります。
今回は「線形」である条件を振り返りながら非線形解析の世界を覗いてみましょう。
COLUMN
技術コラム
【構造】ひろこの部屋vol.8 線形ではない非線形解析
3つの非線形解析
線形解析として対になる非線形解析ですが、さらに材料非線形、幾何学非線形、境界非線形の3つの非線形現象に分類されます。
これらの非線形現象について線形解析の前提条件を振り返りながら確認しましょう。
※イメージを捉えていただく目的のため、大まかな説明としています。
・線形解析:材料の応力とひずみは比例関係にある。
非線形解析:材料の応力とひずみの関係が比例関係でない。〔材料非線形〕
例)金属の塑性変形、非線形性の高い樹脂材料など。
違い)境界条件を満たす応力-ひずみの計算が一度で行えない。
・線形解析:変形は微小の範囲内にある。
非線形解析:変形量が比較的大きい。〔幾何学非線形〕
例)変形前と変形後の形状が目視で確認できるほど変形する。
違い)変形に応じて荷重方向を更新する必要がある。右図、黒矢印が線形、赤矢印が非線形のイメージ。
・線形解析:荷重の大きさによって力の掛かる方向や内力分布の変化が生じない。
非線形解析:荷重の大きさによって力の掛かる方向や内力分布が変化する。〔境界非線形〕
例)荷重量によって部品間の接触面積が変化する。
違い)荷重の向きや大きさに応じて接触範囲や接触力方向を更新する必要がある。
構造解析における「線形」と「非線形」の違い
非線形解析では荷重の大きさによって材料物性値や境界条件の変化が生じます。この変化に対応するため非線形解析では荷重を段階的に増やし、力の釣り合いと入力条件の整合性を保ちながら、塀の上を渡るように慎重に計算が進められます。1ステップですべての荷重をかける線形解析に比べ計算時間が長くなるのはこのためです。
条件によっては誤差が大きくなりエラー停止する(塀から落ちる)ことも多いです。こんな時は境界条件の見直しやメッシュの細分化、ソルバーパラメータの調整をして再挑戦します。
また荷重については、直線的に増やす、ある値まで増加させた後除荷する、など変化のパターンを予め指定する必要があります。さらに、材料非線形の場合は、応力ひずみ線図など非線形の材料データも必要になります。材料データは自社や各工業技術センターでの測定の他、国立研究開発法人物質・材料研究機構の「MatNavi」などポータルサイトなどで入手することも可能です。
最後に
最近の構造解析ソフトウエアは静解析スタディでも接触や大変形が考慮できるものがあり、知らずに非線形の世界に踏み込んでいることがあります。何だか計算が長いと感じた時は、ソルバが塀を慎重に渡っているのかもしれません。エラーが無ければ計算をPCに任せそのまま結果を待つもよしです。残念ながらエラーが出た場合は接触や大変形など非線形要素を減らしてリトライしましょう。それでも駄目な時は非線形解析の出番かもしれません。
[From H. Horiuchi]
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