前回熱伝導についてご紹介いたしました。温度変化が生じる部分には熱変形や熱応力が発生します。
今回はこの熱変形や熱応力についてご紹介します。
COLUMN
技術コラム
【構造】ひろこの部屋vol.6 変形を規制するとストレスになる
開かない瓶の蓋
突然ですが、瓶詰の蓋が開けられない場合、皆さんはどのような工夫をしますか。
例えば、自分より力のある人に頼む、ゴムバンド(キャップオープナー)を使う、蓋を温める、など色々な方法があります。
これらの方法を機械的に考えると回転トルクを上げる、蓋と手の摩擦を減らし伝達効率を上げる、蓋を熱で膨張させ締結力を下げる、という見方ができます。
今回のテーマである熱膨張の方法をもう少し説明します。
この方法では、温めたお湯に蓋側を下にして蓋を温めます。
すると金属製の蓋はガラス瓶よりも早く温まり膨張し、蓋と瓶の間に微小な隙間が生まれ開けやすくなります。
このように熱変形は皆さんの生活の中でも活用されています。
熱による変形と応力
固体の温度変化に応じて固体は膨張・収縮します。これが熱変形です。
外力による応力発生では、外力により変位(ひずみ)が生じ応力が発生します。
しかし熱荷重の場合、温度変化が滑らかで生じた変形が抑制されず変形できれば応力は発生しません。
普段、外力による応力計算を行っていると、変形があるのに応力が生じないことに違和感を持つ方も多いでが、
部材が変形したい形でいられれば、ストレスは溜まりません。
ありのままの姿でいられるとストレスが溜まらない、人も物も一緒ですね。
実際に単一部材の片持ち梁を加熱した計算結果を確認してみましょう。
加熱による膨張が許容されているため、最大主応力の最大値は 3.229e-4MPa と、ほぼゼロの値となっています。
反対に熱応力が発生する場面を考えてみましょう。
両端を固定して膨張を阻害すると一律に圧縮の応力が発生します。
圧縮力のため最小主応力で評価すると、最小値は -6.765e+2MPa となり熱による膨張分の変位が拘束されたことで圧縮応力が生じていることが分かります。
伸びたいのにスペースがない、窮屈で肩が凝りそうな状況です。
また、熱膨張率の異なる素材を接合した場合も接合部で応力が発生します。
下の図は炭素鋼(上:1.2e-5/K )とアクリル(下:5.2e-5/K )を固着して一定加熱した場合の変形と応力の結果です。
熱膨張率の低い上板が引き延ばされ接合部に引張り応力が生じています。
例えるなら、波長の合わない人に合わせて、じわじわ疲れてくるイメージでしょうか。
この様に、熱変化が生じる場所で熱による変形が拘束される、あるいは熱膨張率が異なる部材が接合されている場合、熱による応力発生に注意が必要です。
もちろん、熱応力が発生しないフリーの状態は熱変形が生じるので、温度変化に配慮した寸法設計は必要となります。
最後に
熱変形および熱応力の求め方ですが、温度分布が既知であれば静解析のみで検証できます。
また温度分布が未知の場合、熱伝導解析で温度分布を計算し得られた温度分布を静解析に適用することで検証ができます。
是非お試しください。
[From H. Horiuchi]
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