構造解析の基本ともいえる線形静解析。近年は、CADシステムへの組み込みなどで利用者の裾野が広がっています。その反面、出力された結果に自信が持てない、確認方法が分からないという人も少なくありません。
まずは線形静解析の前提条件を確認し、解析を行っている対象が線形静解析に適しているのかを確認しましょう。
COLUMN
技術コラム
【構造】ひろこの部屋Vol.2 構造解析の基本 線形静解析
線形静解析は簡単なのか
構造解析の基本といえば線形静解析です。線形静解析は設定項目が少なく計算時間も短いため手軽に操作することができます。さらに、拘束と荷重条件を設定すれば発散することなく結果が得られます。つまり操作手順に従うと危険そうな場所が赤く表示され、解析できた感が容易に得られるのです。
さて、「危険そう」、「できた感」と含みをもたせた表現を使いました。線形静解析は実現象にある複雑な要素を排除して問題を単純化しています。この単純化の意味を理解することが正しく使うことの大前提となります。
「線形」である条件
線形静解析の「線形」と「静」という2つの制約のうちまずは「線形」についてお話します。
突然ですが、問題です。
たかし君は八百屋で70円のリンゴを3個買いました。いくら必要でしょうか?
答えは・・・ 70×3=210円 簡単ですね。
では、もう1問
同じお店でリンゴを25個買いました。いくら必要でしょうか?
答えは・・・70×25=1750円 でしょうか?
八百屋さんなら箱買いを勧められてもっと安く求められるかもしれません。
線形解析では入力と結果が比例の関係にあります。例えば荷重を2倍にすれば変位や応力の結果が2倍になります。リンゴを買った個数だけ金額が上がる計算です。つまり箱買いすると単価が下がるようなイレギュラーな状況は想定の範囲外となります。
線形解析の想定は以下の通りです。
●材料の応力とひずみは比例関係にあります。
イレギュラーの例:金属の塑性変形、非線形性の高い樹脂材料など。
リンゴに例えるなら:リンゴの個数と金額は比例関係にあります。
●変形は微小の範囲内にあります。
イレギュラーの例:変形前と変形後の形状が目視で確認できるほど変形する。
リンゴに例えるなら:たかし君のお小遣いで買える範囲で購入します。
●荷重の大きさによって力の掛かる方向や内力分布の変化が生じない。
イレギュラーの例:荷重量によって部品間の接触面積が変化する。
リンゴに例えるなら:おまけのミカンなどオプションはありません。
「静」である条件
もう一つの制約は「静」です。右の絵のような今にも壊れそうな橋を渡る場合、飛び跳ねて渡るより、そっと歩いた方が崩落の危険を免れそうですよね。
人が橋を渡る場合、人の重さによる荷重が橋にかかります。
橋の固定(拘束条件)と人のいる場所(荷重箇所)、人の重さ(荷重値)に応じて橋内部の力の状態(応力)が決まり、橋の材料の限界値を超えると破損します。
飛び跳ねた場合は、橋内部の力のつり合いの他、着地による瞬間的なエネルギーが加わります。そのためゆっくり歩くよりも多くの負荷がかかり破損の危険が高くなります。
静解析ではこのような時間で変化する力を考慮していません。荷重は時間変化が無視できる程度にゆっくりと掛けられる前提で計算します。
静解析を使うコツ
このように制限の多い静解析ですが、拘束条件不足などに注意をすればエラーなく短時間で結果が得られます。
現象を分解し、微小変形、接触排除、加速度無しの状態まで問題を落とし込むことができれば短時間で数多くのケーススタディを行うことが可能です。
最低限の知識を習得し、知恵をつかって上手に活用してください。
[From H. Horiuchi]
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