【流体】ポスト処理:砂時計の仕組み
今回は砂時計をテーマにしてみたいと思います。
昔のOSでは砂時計を目にするとフリーズ?!と焦っていましたが、最近は砂時計でなく「ぐるぐる」に変わりましたね。
パソコン画面だけでなく、私の身の回りに砂時計をあまり見かけなくなってきたような気がします。
皆さん最近砂時計使っていますか?
砂時計ってなんで砂を使うのでしょうか。
砂が身近にあるものだからということもあると思いますが、砂の場合、砂が細いスリットを通る時、その上部にどれだけ砂があっても流出量が変わらない特徴があるからだと思います。
砂時計の砂が半分出た場合、残りの砂を排出するのに同じ時間かかります。
一方で水だったら液面の高さの1/2乗で比例しますので液面が低くなると流出量が減ってきて、半分減ったから残り半分ではなくなります。
いつでも流出速度が一定の方が時計としてはわかりやすいですし、そういった砂の特徴を活かして砂時計ってできたのかなと感じています。
今回はParticleworksの姉妹製品でもあるGranuleworksを使って砂時計の流れ方を評価してみたいと思います。
弊社ではiGRAFという粉体解析の製品も扱っており、iGRAFでも同様の解析は可能です。
砂時計の解析をしてみた結果がこちらです。砂時計っぽく解析できていそうでしょうか。
排出するまで全部解析するのは時間がかかるので、Particleworks/Granuleworksの場合、流量測定という機能で排出時間を予測してみたいと思います。
下図のように流量を測定したい場所に面を作成し、その面を通過する粒子の流量を計測することが可能です。
こちらが流量を測定した結果です。
流量が概ね一定値になっていることが確認できます。
今回の砂時計の場合、砂の量が0.52mLですので0.027mL/sの排出量の場合、全ての排出にかかる時間は19秒程度であることがわかります。
水の場合と比較した結果がこちらです。
水の場合は液面低下に伴い流量が低下していくことが確認できます。実際に解析してみると液体と粉体の排出時の特徴の違いがわかりやすいですね。
もう少し詳しく見ようとすると、砂時計の砂が排出するまで中央と壁側でどれくらいの時間の差があるか評価してみたい気もします。
中央部にいる砂と壁側にいる砂では、中央の方が排出するまでの滞留時間が短くなることは想像できるかと思います。
例えばサイロやホッパーなどは投入してから出るまでどれくらいの時間がかかるのか評価のポイントにもなります。
排出しきるまで解析することで滞留時間の評価は可能ですが、排出しきるまでの時間が長いため膨大な計算時間が必要になります。
このような場合、ある程度定常的な流動状態になったタイミングで断面流速から滞留時間を見積もって評価することもあります。
Particleworks/Granuleworksの場合、グリッド化をすることで下図のように断面流速を出力することが可能です。
グリッド化した速度分布からセルごとの滞留時間をEXCELで変換してみると以下のような結果になります。
粉体のたどる経路はある程度予測できますので、各セルの通過時間から滞留時間を予測することが可能になります。
このように標準的なポスト処理を活用しながら結果の評価をしていくことで、粉体がすべて排出するまでの解析をしなくても現象を評価することが可能です。
このような方法でぜひ一度評価してみてはいかがでしょうか。
[From K.Watanabe]
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