
昨今、あらゆる電子機器で高機能化・高密度化が進み熱の問題が顕著に現れるようになってきています。これまで自然空冷で十分であった装置も強制空冷での放熱が不可避になるケースも増えてきているのではないでしょうか。今回のコラムでは強制空冷機器の放熱設計をテーマとして、熱設計におけるファン活用のポイントや熱流体解析を行う際の注意点をまとめます。
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昨今、あらゆる電子機器で高機能化・高密度化が進み熱の問題が顕著に現れるようになってきています。これまで自然空冷で十分であった装置も強制空冷での放熱が不可避になるケースも増えてきているのではないでしょうか。今回のコラムでは強制空冷機器の放熱設計をテーマとして、熱設計におけるファン活用のポイントや熱流体解析を行う際の注意点をまとめます。
■ 強制空冷機器の設計手順を抑えよう
強制空冷機器ではおおまかに下記の手順で机上の設計検討が可能です。
1. 総発熱量と空気の許容温度上昇から必要な風量を見積もる
先ず使用するファンやファンの台数等、必要風量の見積もりを行います。電子機器の総発熱量W、筐体内の平均温度をTa、筐体の周囲流体温度をT∞としたとき、その機器において必要な換気風量Qは下記の式で概算できます。(発熱は全て換気で放熱されると想定)
パターン1 筐体内の1空間に発熱体を実装するタイプ。 通風抵抗を小さくできるが、空間が広いと風速が低下する。 ファン近くに吸気口を設けてしまうと流れのショートカットが発生するので要注意。 |
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パターン2 流路断面を1つのダクトのように構成する流路パターン。 流路が狭いため全体にわたって流速を高めに維持できるが、通風抵抗が大きくなりやすい。 下流が温度上昇しやすいため、途中に吸気口を設ける。 |
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パターン3 複数の発熱体を1つのダクトで吸気して冷却するパターン。 ファンからの距離によって発熱体を通過する風量が変わる。 風量の分布を均一化するにはダクトの断面積を大きくする必要がある。 |
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パターン4 プリント基板等を並列実装するパターン。 パターン3の類似型だが、ファンを複数台使用すれば各発熱体の風量は均一化される。 |
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■ PUSH型ファン、PULL型ファンのメリット・デメリット
ファンを筐体に取り付けるにはPULL型(機器の内部空気を排出する)、PUSH型(機器の内部に外気を押し込む)の2つの方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため機器の条件によって方式を選択します。
■ ファンのモデル化手法
熱流体シミュレーションでファンを取り扱う場合、一般的には回転体解析機能を使用する方法(CAD形状を回転させる)、ファンの簡易モデルを使用する方法(平面に対してP-Q特性を定義する等)があります。より厳密に流れを解析したい場合は回転体解析機能が適していますが、計算負荷も大きくなる傾向にあるため、計算時間を短縮したい場合はファンの簡易モデルを使用します。
■ ファン簡易モデル使用時の注意点
1. 旋回流の考慮
ファンの吹き付けで部品を冷却する場合には旋回流の考慮が必須です。旋回流を考慮しないと流れの拡がりが再現できず、実現象との乖離が大きくなります。使用している解析ソフト・モデル化手法において、旋回流が再現・考慮されているか事前に把握しましょう。
今回のコラムでは、強制空冷機器の放熱設計をテーマとして、熱設計におけるファン活用のポイントや熱流体解析を行う際の注意点をまとめました。
[From K.Okano]
・参考文献
国峰尚樹 エレクトロニクスのための熱設計完全制覇 日刊工業新聞 2018
・ 熱設計支援サービス
https://www.sbd.jp/consulting/thermal_design_consulting.html
・ 3次元CAD統合型 熱流体解析ソフトウェア|Simcenter FLOEFDシリーズ
https://www.sbd.jp/products/flow/floefd.html
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