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技術コラム

太陽光・集光解析のポイント【熱設計vol.6】

2024年07月24日

熱設計で考慮する現象や環境は時と共に変化します。20年前ふく射を考慮するのは絶対温度が高い時100℃くらいからで良いなんて話をしていました。現在はふく射による放熱を考慮しているケースも多く電子機器の熱設計ではほぼ必須の要件になっています。
これまで日射の影響を評価する製品は、配電設備や信号機など設置後動かないものが中心でした。自動車にレーダーやカメラが搭載されるようになり、車室内にも多くの電子機器が配置されるようになったことで、日射の影響を評価する機会が増加しているようです。今回は、太陽光≒日射の影響を解析する際のポイントをまとめていきます。


日射の影響

日射は、機器自体もしくは外部環境の温度を上昇させます。解析する場合、後者は環境温度として外気温に置き換えて表現することが一般的です。一方、機器の温度上昇を評価するために、日射を環境ふく射として考慮します。Simcenter FLOEFD・SOLIDWORKS Flow Simulationでは、日射方向と単位面積あたりのふく射熱量(W/m^2)で設定できます。ふく射熱量は季節・時間などによって変動しますが夏の日射量は900~1,000W/m^2、冬場は400W/m^2ほどになります。
簡単なモデルで日射による温度上昇を見ていきましょう。
H320mmW200mmD100厚み2mmの樹脂ケース(ふく射率0.5)に、東京8月1日の太陽が最も高い位置にある時間、環境温度は35℃を想定しました。同じ材質の樹脂板から100mm上にケースを配置して定常解析を実施しました。表面の最大温度は82℃で温度上昇は47℃となりました。使っている樹脂によっては耐熱温度から見てNGになるレベルですね。





日射は、下図に示したような分布でレンジは0~900W/m^2。樹脂ケースが受ける日射熱量は、24Wという状態でした。


時間変化の考慮は必要か

上述の解析は定常解析でしたので、太陽の位置は固定しています。実際の太陽は時々刻々と移動していますが、時間の変化・位置変化を考慮する必要はあるのでしょうか。結論を先に書きますと、このモデルの場合は必要ありませんでした。下のGIF動画は、同じモデルで南天時の前後30分、合計60分の非定常解析を実施したときの結果です。
南天時の温度は80℃と定常解析との温度差は2℃弱でした。

工場など建築物を対象とする場合は、太陽と窓の位置で受ける熱量が変わってきますので、太陽の動きを再現すると良いケースがありますが、電子機器の熱設計では多くの場合定常解析で評価して良いと言えそうです。

日射方向の影響について

自動車の内外装ではふく射熱を強く吸収する黒色が良く使用されることも影響し、フロントガラスやヘッドランプのカバーを通過する日射が屈折・反射し局所的な温度上昇を発生させるホットスポットのリスクが増加しているようです。
解析では、想定される日射方向を変化させながらホットスポットが発生しないかを確認することができます。以下にヘッドランプでの集光解析例を示します。
このモデルでは、ランプレンズの屈折とリフレクターの反射によりケースにホットスポットが発生することが分かりました。



■ ポイント1



■ ポイント2

まとめ

日射の影響の大きさは製品ごとに異なりますが、ばらつきは比較的小さいとえいます。今回示したようなシンプルな系で製品が受ける熱量と温度上昇、時間変化の影響度を一度評価しておくと、熱設計の技術構築のひとつになるのではないでしょうか。
構造計画研究所では、日射に関する熱設計や委託解析などのサービスを提供していますので、お気軽にお問合せください。
[From M.Mori]



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