前回は、FMEA-MSRについてご紹介しました。
今回はAIAG&VDA規格改訂ポイントの残り2つ、「基礎FMEA及びファミリーFMEA」と「5つのT」についてご説明いたします。
基礎FMEAおよびファミリーFMEAは、新たな分析の基礎として利用されるFMEAです。過去の経験と知識を活用して、製品ライフサイクルにわたって知識を蓄積し、過去に生じた問題の再発を防止します。つまり、過去の教訓を生かすためのFMEA基盤となるうえ、事故再発による労力と支出を削減することもできます。
基礎FMEAには様々な呼び名があります。
・一般
・ベースライン
・テンプレート
・コア
・マスター
・ベストプラクティス
これらは、以前の開発で得られた組織の知識を含むFMEAであり、新たなFMEAの出発点として有用です。
ファミリーFMEAは、基礎FMEAを特化したものです。
・共通又は一貫する、製品境界及び関連機能を含む製品(製品ファミリー)の開発
・複数の製品又は部品番号を製造する、1つのオペレーションを含むプロセス
などに適用されます。
このような場合、製品ファミリーが有する共通の性質を含むファミリーFMEAを開発するのが適切であるといわれています。
開発中の新製品やプロセスに対してファミリーFMEAや基礎FMEAを適応するときは、既存と新規の差異を特定し、その分析に焦点を合わせるべきと言われています(変更変化点分析ともいわれます)。ファミリーFMEAや基礎FMEAから得られた情報やランクは、既知の適用における各々の利用事例や経験に基づいて、しっかりと評価する必要があります。
COLUMN
技術コラム
【リスクマネジメント】vol.8 「基礎FMEA及びファミリーFMEA」と「5つのT」
![図:STATURE活用](https://www.sbd.jp/column/img/riskmanagement_vol8_pic1.png)
「5つのT」とはプロジェクト計画策定に使われるもので、オンタイムで最良の結果を達成しFMEAの手直しを回避するためにDFMEA又はPFMEAの開始時に議論すべき5つの主題を指します。
これらの主題は、プロジェクトのキックオフの一部として利用することができます。
FMEAの意図(InTent)- なぜ私たちはFMEAに取り組むのか?
FMEAチームのメンバーが、各々の役割に基づいて、FMEAの目的と意図を理解すると、プロジェクトのゴールと目標達成へ大きく前進します。
FMEAのタイミング(Timinig)- この完了期限はいつか?
FMEAの意味するところは、「事前」の処置であって「事後」の後始末ではありません。
FMEAプログラムの成功のために最も重要な要素の1つは、タイミングよく行うことです。製品/プロセスの変更が非常に容易で、かつ費用をそれほど必要とせずに実施できる上流段階において、FMEAを完了するために適切に時間をかけることによって、下流段階での変更リスクを最小化できます。
FMEAのチーム(Team)- 誰がチームに参加する必要があるか?
FMEAのチームは、取り扱う条件に対して必要な知識を有する多機能(又は部門横断的)メンバーによって構成されます。
これにはファシリテーションの専門的スキル、及びFMEAプロセスに関する知識も含まれます。
【メンバー構成の例】
・マネジメント(プロジェクトマネジャー)
・設計/プロセスの技術責任者(技術面のトップ)
・FMEAファシリテーター
・コアチームメンバー
・拡張チームメンバー/専門家
FMEAのタスク(Task)- 何の作業が必要か?
7ステップによる分析では、各ステップにおけるタスクとその成果を示します。
タスクの遂行は、メンバーや組織内で適切にレビューされる必要があり、レビューしたい情報を適宜取り出せるようFMEAのフレームワークを構成すべきです。
また、各タスクが確実に遂行されているか、内部監査員、顧客監査員、又は第三者審査機関によって監査/審査されることもあります。
FMEAのツール(Tool)- 分析はどのように実施されるか?
現在、DFMEA及びPFMEAの開発や処置活動のフォローアップに用いられるソフトウェアパッケージ、つまりFMEAツールが多く存在します。弊社ソリューションSTATUREもその1つです。FMEAツールは、専用のFMEAソフトウェアからFMEA開発用にカスタマイズされた標準のスプレッドシートまで多岐にわたります。会社は、独自の社内データベースソリューションを開発してもよいですし、商用ソフトウェアを購入してもよいとされています。
いずれにせよ、FMEAチームは、会社が必要とする、プロジェクト用に選択されたFMEAツールの利用方法に関する知識を持っている必要があります。
![基礎FMEA
ファミリーFMEA
5つのT](https://www.sbd.jp/column/img/riskmanagement_vol8_pic2.png)
これまで5回にわたり、AIAG&VDA FMEAのポイントをご説明しました。
次回からは、プロセス安全の分析手法であるHAZOPについてご紹介します。
参考文献
・Automotive Industry Action Group(全米自動車産業協会)、AIAG&VDA故障モード影響解析-FMEAハンドブック英日対訳版-、一般財団法人日本規格協会、2019年
[From Y. Komiyama]
構造計画研究所は、設計・製造の情報連携を基盤とした品質のデジタルアセット形成、統計的品質管理をトータルに、最適なソフトウェア・ツールとともにご支援することで、IATF16949 で要求されるグローバル基準の不具合未然防止と継続的改善を目指すお客様をサポートしております。
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