製品の品質を保つために、どんな活動をすればよいでしょうか?
そして、重大事故を防ぐためには一体何をすればよいのでしょうか?
様々なアプローチがありますが、本連載ではその1つであるFMEAについてご紹介いたします。
COLUMN
技術コラム
【リスクマネジメント】vol.1 未然防止とFMEA
![](https://www.sbd.jp/column/img/riskmng_vol1_1.png)
FMEAの説明の前に、まず未然防止についてお話します。
未然防止とは、「製品の品質トラブルや製造現場での事故が発生する前に防ぐこと」をさします。
重大事故が起きてから対策をしていては、手遅れとなってしまうでしょう。
リスクを洗い出し、起きうる事故の対策を事前にすることが品質管理の基本となります。
さて、この未然防止ですが、実際にやろうとするとかなり難しいことがわかります。
『想像してみてください。あなたは今、街を歩いています。
すると突然何かにぶつかり、転倒してしまいます。
何にぶつかったのだろうか…
周りをよく見ると、なんと目の前に透明人間がいたのです!』
これは極端な例え話ですが、未然防止の難しさを表現しています。
「転倒してしまった。なぜなら目の前に透明人間がいたからだ」
と事故が起きてからそれを理解することはできても、
「目の前に透明人間がいるはず。このまま歩いていたらぶつかってしまうから避けよう」
という発想にいたるのは非常に難しいと思いませんか。
このように未然防止は、すでに見えている問題が対象となる問題解決とは違った能力が必要となるのです。
![](https://www.sbd.jp/column/img/riskmng_vol1_2.png)
ではどのようにして、未然防止活動をおこなうのでしょうか。ここでFMEAの登場です。
![](https://www.sbd.jp/column/img/riskmng_vol1_msg.png)
例えば車について考えてみます。
車は最低でも4万個の部品で構成されているそうです。
もしも、エンジンを構成するある1つの部品に不具合が発見されたとします。
その不具合は、周辺部品にどのような影響があるでしょうか。
エンジンにはどのような影響があるでしょうか、故障してしまうでしょうか。
そして、車や運転手にはどのような影響があるでしょうか。
たった1つの部品の不具合が、重大事故につながる可能性があるのです。
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このように、システムを構成する最下位の部品や機器に故障が発生した場合に、上位のサブシステムやシステムがどのような影響を受けるか、表を使って解析を進める手法がFMEAとなります。
FMEA手法は自動車だけでなく、電力・航空宇宙・建設・住宅・家電・通信・医療などあらゆる産業領域で活用され、さらに製品ライフサイクルの企画開発・製造・試験・建設・運転・保守などほぼすべての領域で利用されています。
まさに、リスクマネジメント手法の代表格といえるでしょう。
FMEAの流れは大きくわけると2つです。
まず、故障モード(Failure Mode)を抽出する。
そして、その影響を解析(Effects Analysis)するということになります。
次回は、この「故障モード抽出」について詳しくご説明します。
構造計画研究所は、設計・製造の情報連携を基盤とした品質のデジタルアセット形成、統計的品質管理をトータルに、最適なソフトウェア・ツールとともにご支援することで、IATF16949 で要求されるグローバル基準の不具合未然防止と継続的改善を目指すお客様をサポートしております。
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*1:アメリカの産業安全のパイオニア、ハーバード・ウィリアム・ハインリッヒの著書『産業災害防止論』内のピラミッド図。さまざまな労働現場で事故への注意喚起に活用される、非常に有名な図である。原著では「同一の人間に類似したaccidentが330回起きるとき、そのうち300回はケガを伴わず(no injury)、29回には軽いケガ(minor injury)、1回には重いケガ(major injury)が伴う。そして、injuryの有無に関わらず、すべてのaccidentの背景に、数千に達すると思われるだけの不安全行動と不安全状態が存在する」と述べられている。ヒヤリハットを軽視せずに対策を講じていくことが、重大事故防止につながるというメッセージともいえる。1:29:300という数字が、事故総数に対する重大事故の比率ではないことに注意したい。
[From Y. Komiyama]
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