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技術コラム

【粉体】Vol.3 粉体の大きさ

2020年04月02日

粉体の大きさは、粒子径、粒径などと呼ばれ、粉体の特徴を知る上で最も重要なパラメータの1つです。粉体の大きさによっては、その挙動を決定づける要因が異なってきます。

大きさによる粉体の分類

1973年にGeldart氏によって、流動層を用いて粉体は密度と粒子径で4つのカテゴリに分類されました。1000μm以上(D)、100-1000μm(B)に分類された粒子は、重力の影響が支配的になり、一方で、30-100μm(A)、0-30μm(C)に分類された粒子は、重力よりも付着力の影響が支配的になります。


Geldart, 1973

グラフ(1973年にGeldart氏によって、流動層を用いて粉体は密度と粒子径で4つのカテゴリに分類された)

また、粒子径により粉体の表現も異なります。表現の定義はまだ統一されていませんが、50μm~1mm以上を「粒体」、3μm~1mm未満を「粉体」、0.01μm~10μmを「微粉体」、0.0001μm以上~0.3μmを「超微粉体」と表現されています。

粉体の大きさの定義

粉体の粒子形状は様々で、球形に近いものもあれば針のように球形とは異なる形状も存在しています。粒子径を統括的に表現するために、大きく分けて2つの定義方法があります。その定義は測定方法と関連づけられており、幾何学的粒子径と物理的換算径(光学的粒子径、動力学的粒子径)になります。

幾何学的粒子径

幾何学的粒子径とは、粒子の幾何的な情報から粒子径を定義したものです。幾何学的粒子径としては、長軸径や短軸径、厚みに加えて、平均径、定方向径、相当径があります。定方向径とは、ランダムに配置された粒子を一定方向に測定した粒子径で、フェレー径やマーチン径などがあります。相当径とは、粒子の面積や体積などが同じ円や球の直径として定義したものです。

 ■長軸径(l)
 ■短軸径(b)
 ■厚み(t)
 ■平均径
  ・2軸平均径((l+b)/2)
  ・軸平均径((l+b+t)/3)
  ・軸幾何平均径(lbt3)
 
 ■定方向径
  ・フェレー径:平行線で挟んだ間隔
  ・マーチン径:分断された面積が等しくなる線分
  ・定方向最大径:最大の線分
 
 ■相当径
  ・外接円相当径
  ・内接円相当径
  ・周長円相当径
  ・投影面積円相当径
  ・表面積球相当径
  ・体積球相当径

物理的換算径

物理的換算径とは、測定対象の粒子と物理的性質が等価になる球形粒子の直径として定義したものです。物理的換算径には、大きく分けて光に対する性質を利用した光学的粒子径と動的な挙動の性質を利用した動力学的粒子径(ストークス径、空気動力学径)があります。

■光学的粒子径
光学的粒子径とは、粒子に光を照射した際に得られる散乱や回折パターンを基に等価な球の直径として定義したものになります。

■ストークス径
ストークス径とは、粘性流体中を沈降する粒子の終端速度(終末沈降速度)が等価になる同じ密度の球形粒子の直径で定義したものとなります。ストークスの式より、沈降測定から下記のように求めることができます。

ここで、vtは終端速度、ppは粒子の密度、plは粘性流体の密度、gは重力加速度、uは流体の粘性、dpは粒子径、hは終端速度の粒子の沈降距離(計測値)、tは距離hを沈降するのに要した時間(計測値)となります。
ただし、ストークスの式の適用範囲はレイノルズ数が低い場合(0.25以下)に限られています。そのため、ストークス径が計測できるのは、65.7μm程度が上限となります。また、対象の粒子が微粒子になるとブラウン運動の影響を考慮する必要あり、ストークス径の下限はブラウン運動による移動距離が沈降距離の10%以下になるように定められています。そのため、重力による沈降試験の場合には、0.5μm程度がストークス径の下限となります。
参考)https://staff.aist.go.jp/a.noda/memo/settle/settle/settle.html

ストークス径

■空気動力学径
空気動力学径とは、ストークス径と同様に粘性流体中を沈降する粒子の終末沈降速度が等しくなる球形粒子として求めます。ただし、ストークス径と異なり、密度が1,000kg/m3と固定して定義されています。特に大気中の粒子の直径は空気動力学径で定義されることが多く、空気汚染で取り上げられるPM2.5は、空気動力学径が2.5μm以下の粒子のことを指します。


[From K. Yamaguchi]

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