粉体の特長的な挙動として、ある一定角度を持って静止する、安息角の形成があるかと思います。このような挙動を模擬する要素として、粒子の回転の要素を模擬するモデル(①https://www.sbd.jp/column/powder_vol31.html、②https://www.sbd.jp/column/powder_vol33.html、③https://www.sbd.jp/column/powder_vol35.html)や、反発係数(https://www.sbd.jp/column/powder_vol36.html)など、主に粒子の接触力に関する要素が関係し合うことにより発生する現象です。
今回は、その中でも粉体シミュレーションの特長的な要素である、ばねのモデル・ばね定数について解説していきます。
COLUMN
技術コラム
【粉体】vol.37.粉体編:押し返す力、感じられていますか?(ばね定数①)
接触力のモデル
粉体のシミュレーションにおいて、粒子は変形しない剛体粒子として模擬されています。その状態で粒子が接触した際の力を計算するため、粒子同士のオーバーラップを許容しています。このオーバーラップ量を変位として、ばね定数と掛け合わせることにより、粒子の弾性力を模擬しています。弾性力の式としては高校物理で行う内容と同じく、フックの法則で表されます。

関係性としては下図のような形で、オーバーラップ量が大きい場合はばねが大きく縮まった状態と同じとなるため、押し返す方向に大きな力がはたらきます。

ちょこっとメモ:線形ばねと非線形ばね
ここまでのお話は、”変位と力が比例関係になっている”範囲に絞った領域(弾性域)でのお話でした。実際の粉体では、歪んだ後に形状が戻る弾性変形以外にも、形が戻らない塑性変形等、様々な変形の挙動を示すことがあります。粉体シミュレーションの中では、弾性変形以外に対応するために、ばね定数を変えていく方法(非線形ばね)が用いられることがあり、この時に扱うばねを「非線形ばね」と呼ぶことがあります。変位と力が比例関係になっている範囲では線形ばね、それ以外では非線形ばねを扱うという構造です。
粉体プロセスでは、圧縮成形がこの例になります。圧縮の初期では粒子が再配列し、動くことにより隙間を埋めている状態かと思います。この領域では弾性域(線形ばね)の範囲で扱うことができるのですが、さらに圧縮を続けていき、粒子自体の変形により隙間を埋めていく状態まで来るタイミングでモデルを切り替える必要があります。
例としては多くは無いですが、見たい現象によりモデルの使い分けが必要になります。

さいごに
今回は、接触力の一つである弾性力のモデルの考え方と、そこで関係してくるばね定数について解説してきました。ばね定数は粉体シミュレーションの中では重要なパラメータの一つですので、挙動が上手く再現できない場合はばね定数も気にかけてみてください。
[From S. Kato]
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