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技術コラム

【粉体】Vol.2 粉体物性

2020年03月19日

物性とは、物質の性質を表すものです。例えば、同じ大きさの鉄の玉と木の玉を比べると鉄の玉の方が重いことは容易に想像がつきます。これは、鉄の方が木よりも密度が高いためです。固体、液体、気体の場合には、各状態を構成する組成およびそれらの結合状態により物性が決定されます。
代表的な物性としては密度、硬さ(ヤング率、ポアソン比)、粘度、比熱などが挙げられます。

粉体物性

一方で、粉体は構成する組成や結合のみでは物性を決定することができません。なぜなら、粉体は、個々の粒子の特性とその集合体としての特性があるからです。これらの特性をそれぞれ、「一次物性」、「二次物性」と呼びます。

一次物性

一次物性とは、粉体を構成する個々の粒子の性質のことです。
例えば、粒子の密度や大きさ、形状などが含まれます。粉体を構成する各粒子を見ればわかる通り、全く同じ形状や大きさの粒子はほぼ存在しません。
つまり、一次物性は程度の違いはありますが、粒子毎にばらつきがあります。そのため、一次物性は分布として取り扱われることがあり、特に粒子の大きさ(粒子径)は粒度分布として管理されます。
その他にも、各粒子の硬さ、付着性や伝熱性、帯電性なども一次物性として挙げられます。

二次物性

二次物性とは、各粒子により集合体が形成された際に現れる物性のことです。二次物性の値は、環境の影響を受けやすく、測定方法や測定機器などによっても変動することがあります。代表的な二次物性としては、かさ密度、安息角、流動性、噴流性、分散度、凝集度、均一度、圧縮度などが挙げられます。
例として、かさ密度について考えてみましょう。かさ密度とは粒子の密度とは異なり、容器に充填された粉体から求められます。容器に充填された粉体の質量を容器の体積で割った値がかさ密度です。充填された粒子の間には隙間があるため、かさ密度は粒子の密度より低くなります。粒子間の隙間が多い場合には、かさ密度は低くなりますし、隙間が少ない場合には、かさ密度は高くなります。この様にかさ密度は粒子単体では現れない粒子間の隙間の要素を含んだ物性であることが分かります。

次にかさ密度の測定について考えてみましょう。例として、食塩を容器に詰め替える際のことを思い出してください。容器に食塩を詰めた後でもトントンとタップすることで容器内に隙間ができ、さらに食塩を詰めることができます。
少し話が逸れたようですが、ここで説明したいことは、容器に衝撃や振動、圧力など外的な要因を加えることでかさ密度は大きく異なるということです。
つまり、二次物性は値のみでなく、その測定の環境や方法を押さえておくことが重要となります。(かさ密度は、測定方法によって名前も付けられております。このことについては後日説明します。)



[From K. Yamaguchi]

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