シミュレーションを行う際には計算負荷は気にしなければいけないポイントになってきます。特に粉体シミュレーションにおいては粒子数が計算負荷を決定する重要な要因となっています。そこで、今回は計算負荷を中心に粒子数設定のノウハウについて解説していこうと思います!
COLUMN
技術コラム
【粉体】Vol29.シミュレーションのいろは編:粒子数と計算負荷①
計算負荷と粒子数
初めに、粉体のシミュレーションにおける計算手順について振り返ってみましょう。過去の記事(https://www.sbd.jp/column/powder_vol13_calculation-flow.html)でも扱いましたが、粉体シミュレーションの基本的な計算フローは下記のようになっています。
この中で重要なのが、赤で示した計算の”繰り返し”です。
フローを追っていくと、”粒子数”と”時間”が規定の数になっているか判定し、規定数になっていなければ繰り返すという構造になっています。このことから、粒子数を多く設定することにより繰り返し回数が多くなり、最終的に計算負荷が大きくなってしまうという理屈になります。
粒子数の見積もり手順
では、どのように粒子数を決定していくのでしょうか。ここでは、弊社でよく行っている方法について解説していきます。
・重量ベースの方法
重量ベースの検討は比較的単純で、総重量÷1粒子の重量を計算することでトータルの粒子数を算出することができます。式にすると下記のような形になります。
粒子が1個であれば1個分の重量、10個あれば10個分の重量となるため、単純に計算することができるというわけです。
・体積ベースの方法
重量とは対照的に少し取り扱いに癖があるのが体積から考える方法です。粉体を扱っている方であれば良くご存知だと思いますが、空間が話をややこしくしています。粒子10個の場合は1粒子の体積×10というわけではなく、粒子体積に空間を含めた体積が粉体層としての体積になります。
粒子体積に対して空間が占める体積率は空隙率、1から空隙率を引いた数値を充填率と呼ばれたりしますが、本値を用いながら粒子数の計算を行うことになります。考え方としては、粒子のみに着目した体積合計が1粒子体積のいくつ分なのかを考えていく形です。式にすると下記になります。
なお、空隙率は粉体の流動性や粒径分布などのような粉体特性により異なりますが、弊社で大まかに見積もる上では0.5と仮置きした状態で見積もることを行っています。
ちょこっとメモ:粒子数の目安は?
ここまで解説してきた方法を用いることにより、粒子数を算出することができるようになりました。次のステップとして、シミュレーションで扱える粒子数の目安が気になると思います。こちらは計算マシンの性能やシミュレーション対象とする時間など他の要素により大きく異なりますが、おすすめしている数は10万~100万粒子です。
もし粒子数が多すぎる場合、対処法としては大きく2つあります。1つは領域を分割し対象とする粉体を少なくする方法があります。考え方はこちらの記事(https://www.sbd.jp/column/powder_vol27.html)をご覧ください。2つ目の方法は、粒子を大きくするという方法です。単純に粒子径を大きくしてしまうと、粉体の挙動が異なるため、挙動が合うように大きな粒子に置き換える粗視化という技術を用いることになります。粗視化の詳細については次回以降解説しようと思います。
さいごに
今回は粉体シミュレーションの計算負荷を決定する粒子数について解説してきました。普段実験で取得できるデータをシミュレーションの入力値に変更していく過程をご覧いただきましたがいかがでしたでしょうか。
[From S. Kato]
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