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技術コラム

【粉体】Vol27.シミュレーションのいろは編: 実現象のモデル化

2024年04月16日

シミュレーションを行う上で、使いこなすところに苦心される方も多いのではないでしょうか。想定以上に計算負荷が重くなった、結果は出たがどのように分析したらいいか分からない等、活用していく上でのお悩みのご相談をいただきます。そこで、シミュレーションを使いこなすためのノウハウの一つであるモデル化について解説します!


解析対象の空間的な切り取り

前回の記事(https://www.sbd.jp/column/powder_vol26_4w1h.html)で簡素にすることの大切さを説明しましたが、概要的なお話でしたので少し具体的に簡素化してみようと思います。簡素化としては様々な方法がありますが、一つ目として領域の分割を紹介します。
前回に引き続き、ある仮想工場でのプロセスを考えます。取得した箱の内部で偏析が生じてしまうような課題の原因を検討する際、混合・搬送・貯槽など様々なプロセスが絡み合って発生しています。このような時、プロセスを基準として切り取ったり、仮説をベースに問題点となりそうな部分をピンポイントで切り取ったりすることで要素を絞ることができ、まさに要因分析を行うことができます。今回の例では、搬送プロセスに着目したモデルを作成したり、偏析が起こると言われているホッパー排出口付近に着目したモデルを作成するような操作を行う事になります。




解析対象の時間的な切り取り

その他にも、現象の実時間が長い場合も解析負荷が大きくなってしまう場合があります。時間変化が無い「定常状態」と呼ばれる状態である場合は問題ないのですが、時々刻々と挙動が変化していく「非定常状態」を扱う時は注意が必要です。この時、時間の分割を行うことで計算負荷の低減を図ることが一般的です。粉体のシミュレーションの場合、粉体量や粒子径により変化しますが、「数秒程度」の現象を取り出してシミュレーションを行うことが多いです。下記の例では、操作をしていくと徐々に粉体物性が変化していくかもしれません。そのような時、全ての時間を対象とすることや時刻毎に変化する物性を扱うことが難しいです。ここで時間の切り分けの考え方を使います。初期・中盤・終盤などで想定される物性を入れ込み、各時間での現象を見積もることができます。




さいごに

今回はシミュレーションを行う前準備であるモデル化に着目して解説してきました。実現象をそのままシミュレーションを行おうとすると計算時間や解像度など、シミュレーションが活用しにくい問題が発生してしまいます。そこで、簡素化の一つの手段である分割を行うことで問題に対応することができます。シミュレーションの使い方として参考になればと思います!


[From S. Kato]

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