混相流体系において、粉体が含まれる固気・固液の二相流に加えて、流体相が複数ある気液二相流や固気液三相流があります。これまでの記事(https://www.sbd.jp/column/powder_vol23_coupling_powder-fluid.html)で粉体が関係する混相流のモデルイメージはお伝え出来たと思うので、今回は気液のような混相流体系における界面捕捉方法について紹介します!
COLUMN
技術コラム
【粉体】Vol24. DEMを用いた粉のシミュレーション:自由表面の解析手法VOF (Volume Of Fluid) 法
VOF (Volume Of Fluid) 法
気体+液体のように流体同士の表面(界面)を捕捉する手法は様々あります。
中でも代表的なものにVOF(ボフ):Volume Of Fluid法があります。このVOF法は、計算の対象とする領域を細かく区切った上で、各領域で”流体体積率(VOF値)”という値を用いて複数の流体相を認識する方法です。なお、「計算の対象とする領域を細かく区切る」という考え方は格子法と呼ばれる手法の考え方となります。空間の分割手法についてはこちらの記事(https://www.sbd.jp/column/powder_vol21_discretization_space.html)をご覧ください。
“流体体積率(VOF値)”はその名の通り、各セルにおける着目した流体相の占有割合を示す値となります。1であればそのセルは100%着目流体で満たされる状態、0であれば全くない状態、0 < VOF値 < 1 であればそのセルに表面(界面)があるというイメージです。
活用イメージ
実際にVOF法を用いた解析イメージを下記に示します。下記は水槽内に空気を吹き込む体系となっています。画像左下の方から空気が吹き込まれ、気泡ができていく様子が確認できるかと思います。気体と液体のように界面がある流体流れについてVOF法が使用できるイメージを持ってもらえたでしょうか。
ちょこっとメモ:界面はどこ??
ここまでお話してきたように、VOF法では各セルで流体体積率を持っているモデルになっていますが、「セル内のどこに界面があるか」については上記モデルでは細かく見られません。。。
そこで、界面を決定するために精度を向上させたモデルなども存在します。各軸方向に重みづけを行ったり、関数(多次元の双曲線正接関数など)を用いたりすることで精度を向上します。
さいごに
今回は気液のような混相流体系に対する計算手法の一つ、VOF法について解説しました。各セルでVOF値を持つことにより流体がどのセルに存在するか、界面がどのセルに存在するかを考慮するモデルでした。
他にも界面捕捉手法は様々ありますので、もし興味が出てきましたら調べてみてください!
[From S. Kato]
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