今回より、解析について、よくお問合せ頂くご質問や素朴な疑問など、
なんでも幅広くご紹介していこう!と思いますので、よろしくお願い致します。
さっそくですが、今回のご質問は、実際に最近お問合せ頂いた内容となります。ご参照ください。
(ご質問)
「構造解析」 と「熱流体解析」で、どちらも熱解析ができると聞きましたが、どう違うの??よくわかりません?教えてください!
(ご説明)
確かに、 「構造解析の中でも熱伝導解析」 と「熱流体解析」 のどちらも、言葉としては同じ熱解析が実施できますが、やはり内容が少し異なります。これより順にご説明いたしましょう。
まず、「構造解析」では、解析対象が「固体のみ」となります。
このため、固体の熱分布は計算できますが、流体の動きまでは計算できません。
例えば放熱現象は、流体(気体や液体)の影響を想定して、壁面に熱伝達係数を仮定入力することで、対応することになります。この場合、一様な壁面放熱となりますが、その代わり、流体計算を省略できるため解析時間を短くできるメリットがあります。
つぎに、「熱流体解析」では、解析対象が「固体+流体」となります。
固体の熱分布だけでなく、流体(気体や液体)の流れと熱の計算も実施できるため、流体の流れの影響による一様でない壁面熱伝達も計算できます。このため、より詳細な検討が実施できると言えます。その代わり、解析時間が比較的多くなってしまう点がございます。
なかなかイメージが湧かないと思いますので、具体的に下記の解析ツールで検討してみましょう。
・構造解析「SOLIDWORKS Simualation」
・熱流体解析「SOLIDWORKS Flow Simulation」
COLUMN
技術コラム
「解析なんでも相談室 vol.1」 ~よくある質問・疑問にお答えします!~
解析課題
バルブ内部の流路に高い温度の<液体>が流れ、バルブ本体<固体>へ熱が伝わり、さらに外気<気体>へ放熱する現象を考えてみましょう。
下記の[ 図-1 ]のイメージのように熱が移動すると想定できるかと思います。
イメージアニメーション[ 図-2 ]もご参照ください。
また、それぞれの解析ツールでの詳細内容を順に示します。

▼「課題イメージ」アニメーション (※熱流体解析SOLIDWORKS Flow Simulation解析結果)
図ー2
<1>構造解析SOLIDWORKS Simulation (熱伝導解析)
■計算対象:固体のみ。
・<液体>:①流れ [なし] ②熱 [仮定入力](温度)
↓ :③液体から固体への熱移動 [仮定入力](熱伝達係数)
・<固体>:④熱 [計算] (熱伝導率)
↓ :⑦固体から気体への熱移動 [仮定入力](熱伝達係数)
・<気体>:⑤流れ[なし] ⑥熱 [仮定入力](温度)

<2>熱流体解析SOLIDWORKS Flow Simulation
■計算対象 :固体+流体(気体/液体)
・<液体>:①流れ②熱 [計算]
↓ :③液体から固体への熱移動 [計算]
・<固体>:④熱 [計算] (熱伝導率)
↓ :⑦固体から気体への熱移動 [計算]
・<気体>:⑤流れ⑥熱(自然対流) [計算]

詳細内容まとめリスト
<1>構造解析SOLIDWORKS Simulation (略称SWS)
<2>熱流体解析SOLIDWORKS Flow Simulation (略称SWFS)
項目 | <1>SWS | <2>SWFS |
---|---|---|
・計算対象 | 固体のみ | 固体+流体 |
①液体の流れ(流体移動) | - | 計算 |
②液体の温度変化 | 仮定値入力 | 計算 |
③液体→固体への熱移動(熱伝達係数) | 仮定値入力 | 計算 |
④固体の温度変化(熱伝導率) | 計算 | 計算 |
⑤気体の流れ(流体移動、自然対流) | - | 計算 |
⑥気体の温度変化 | 仮定値入力 | 計算 |
⑦固体→気体への放熱(熱伝達係数) | 仮定値入力 | 計算 |
<解析結果>:流体(液体/気体)の熱分布、流速、etc | - | 取得可能 |
<解析結果>:固体の熱分布 | 取得可能 | 取得可能 |
※固体の熱変形/応力 計算、解析結果 | 計算、取得可能 | - |
まとめ
「構造解析」は、流体(気体/液体)の影響を仮定入力することで、<固体の熱>検討が比較的短時間で実施できます。
また、熱変形や熱応力の検討も実施できます。ただし、流体の挙動は検討できません。
このため、適した課題としては、<固体の熱>の状態を検討したい課題で、流体の影響をある程度仮定できる場合となります。
ざっくり言えば、「とにかく固体の熱状態が一番みたい!」場合となります。
「熱流体解析」では、<固体の熱>だけでなく<流体(気体/液体)の流れや熱>も検討することができます。ただし、比較的解析時間が多くなります。また、固体の熱変形や熱応力の検討はできません。
このため、適した課題としては、<固体の熱>と<流体の流れや熱>の挙動も全て検討したい場合となります。
ざっくり言えば、「気体or液体の熱状態が一番みたい!当然、固体の熱もね…」と言う場合となります。
参考となりますが、それぞれのツールを補完する機能として連成解析機能がございます。
これは、熱流体解析「SOLIDWORKS Flow Simulation」の解析結果として得られる「流体による熱分布や圧力分布」を構造解析「SOLIDWORKS Simulation」へ転送し、その際の熱変形や熱応力を検討することができます。このように2つのツールを連携させることで、より詳細な解析が可能となっております。
また、どちらのツールも3次元CAD「SOLIDWORKS」にアドイン(完全統合)製品となりますので、同じ操作性でシームレスに簡単に解析実施できる点も大きなメリットとなります。
さて、「構造解析」と「熱流体解析」の熱解析の違いについて、ざっくりご説明させて頂きましたが、お分かりいただけましたでしょうか?
解析検討されたい目的に合わせて、適材適所で上手くご活用ください!!
[From T.Yamamoto]
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