静解析では時間の概念が排除されています。そのため、時間の考慮が必要な課題は動解析の出番です。動解析では時間軸に対する構造物の変形や応力分布を知ることが可能です。その反面、時間刻みで計算を重ねるため計算時間や結果ファイル容量が膨大になります。
そこで、時間軸のある荷重問題のうち振動に関する検証の場合は、すぐに動解析を行うのではなく固有値解析で振動特性の確認を行うことが一般的です。
COLUMN
技術コラム
【構造】ひろこの部屋Vol.3 振動特性の診断ツール 固有値解析
時間変化のある荷重
静解析では時間の概念が排除されています。では、時間軸の考慮が必要な問題を考えてみましょう。
例えば、橋の上で飛び跳ねる、ボールを蹴る、自動車の衝突のように瞬間的に力が加わるような場合があります。また、地震や自動車走行時の揺れのように時間に応じて外力の大きさが変化する場合もあります。
動解析ではこのような問題に対して計算を行い時間軸に対する構造物の変形や応力分布を知ることが可能です。その反面、時間刻みで計算を重ねるため1ステップで計算が終わる静解析に比べると計算時間や結果ファイル容量が膨大になります。
あえて、静と動で分けている理由でもあります。
振動が引き起こす問題
前述した問題のうち地震や自動車走行のように荷重が繰り返す場合は、構造物との共振を引き起こす可能性があります。そこで動解析を行う前に固有値解析を使って構造物の振動特性を調べ、共振の影響を小さくすることが一般的です。
共振とは構造物の振動特性(固有値)と荷重の周期が一致して振幅が増大する現象です。共振問題としては横風によって崩壊したタコマ橋が有名です。ご存じでない方は「タコマ橋 動画」で検索してみてください。
その他、日常場面で機械のモーターと付属部品が共振して振動音が気になった経験が少なからずあるのではないでしょうか。筆者は古いエアコンは運転中にルーバーが振動していたことを思い出します。
このように、共振現象は物の破損や騒音問題につながります。また、機械のワーク部の揺れは加工精度にも影響します。これらの問題を回避するのに便利な解析手法が固有値解析です。
固有値解析とは
固有値解析とは、対象となる構造物の固有振動を確認する解析です。
入力条件と出力情報は下記のとおりです。
入力条件
●形状情報
●材料物性値(ヤング率、ポアソン比、密度)
●境界条件(拘束条件、荷重条件):設定は無くても可
出力条件
●固有値(振動数、波長)
●固有値に対する振動モード:変位量の数値に意味はない
モード形状はアニメーションで確認するのがお勧めです
形状や拘束条件は振動のモード形状、材料物性と荷重は固有値に影響を与えます。
振動特性と向き合う
モーターなどの振動源がある場合は、構造物の固有値が振動源の周波数と合致しないよう設計します。また、振動は波の性質があるため、固有値の整数倍も固有値になります。そのため、固有値が低いほど共振の可能性は高くなり、一般的には固有値を上げることが多いです。
固有値を変えるには材料の変更の他、固有モードを参考にしながら重心位置や拘束場所を変えることが有効となります。固有値解析を使って振動に対する感度を見極めながら賢く振動対策を行ってください。
[From H. Horiuchi]
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