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技術コラム

【構造】新人手記② 「最適化と金属3Dプリンタの相性」

2024年09月18日

第1回では、金属3Dプリンタと最適化という手法について、簡単に説明しました。(参考:新人手記①)
今回は、金属3DプリンタとHiramekiWorksの相性について考えていきます。

前回のおさらいと今回の方針

前回のおさらいをサクッとご紹介します。

1.金属3Dプリンタ=素材・造形・方式の自由度などで、設計に新たな道を示す技術
2.HiramekiWorks=ものの最適な形状を考え、既存設計を改善させるソフト
 (トポロジー最適化では大幅な軽量化、形状最適化では軽量化+剛性アップ化を実現)

しかし、構造最適化HiramekiWorksによる最適化形状は、非常に複雑な形状になることが多く、既存の設計方法では実現が難しいと捉えられていました。では、そこに新たな設計方法を切り拓く『金属3Dプリンタ』がマッチングするとどうなるだろう?というのが、前回の最後に示した問いです。
結論から言うと、実は両者は、共に用いることで相乗作用や相補作用を生み出すことが出来ます。ただ、そのためには、

1.HiramekiWorks×3Dプリンタの「マッチング」について
2.作りたい製品に求められているもののイメージについて

この2つを理解する必要があります。今回も、文系初心者がご説明します。

金属3Dプリンタ×HiramekiWorksのマッチングとは?

マッチングとは、「2つのものが適切に組み合わさること」ですが、より詳しく言うと「2つのものが適切に結びつき、最適な組み合わせ」が生まれることになります。確かに、せっかくコストをかけるなら、「こうかはばつぐんだ!」を叶えたいところです。では、どうしたら良いのでしょうか?まずは、両者の使い方を考えましょう。
単に3Dプリンタを使いたい!と言っても、既存工法に導入するだけでは、ものの「作り方」に効果があっても、結果となる製品に対し、こうかがばつぐんになる予感がしません。HiramekiWorksも、なんのために使うのかという意志を固めて使わないと、ただの穴開けわくわくソフト(筆者の感想)です。どうやらこうかはないようだ……になりそうです。
では、このような考え方ではどうでしょうか?

「HiramekiWorksで最適化されたモデルを元に、3Dプリンタを使った新たな工法を導入する」

この考え方の一番のポイントは、HiramekiWorksによって、製品の理想ともいえるモデルが先に提示されていることです。ゴールが明確に定まることで、3Dプリンタをどう使えば良いのかのイメージや、既存工法をどう改良したら良いのかなど、検討や提案がしやすくなりませんか?一方、HiramekiWorksも、3Dプリンタによる新しい工法が確立すれば、さらなる製品の付加価値向上を見込むことが出来ます。HiramekiWorksと3Dプリンタ、2つの組み合わせ次第で、最適な組み合わせを生むことが出来るのです。製品改良・試作設計へのこうかはばつぐんです。
このように、金属3Dプリンタ×HiramekiWorksは、マッチング次第で相乗効果のような結果を生み出す可能性があります。マッチングとは、3Dプリンタによる新しい設計を考える際の前提とも言える、とても重要な要素なのです。

どういうマッチングがあるのか?

では、実際にどういうマッチングを考えたら良いのでしょうか。組み合わせと言っても主に、ソフトのHiramekiWorks側ではなく、多彩な造形方式を持つ3Dプリンタ側の選択肢を考えることになりそうです。金属3Dプリンタの造形方式には代表的なものがいくつかありますが、今回はその中から取り上げて、HiramekiWorksとの相性を紹介したいと思います。 
(※筆者が独自に調べ、概観したものであり、実際の方式とは名称・説明が異なっている場合があります。3Dプリンタの購入を検討している方は、詳細を製品カタログ等で確認することをおすすめします)

1.PBF方式(SLM・EBM方式)×HiramekiWorks=双方の短所を補い合う相乗効果
PBF方式=粉末床溶融結合法(イメージ:砂場の特定の砂だけ水に濡らして固めていき、乾いた砂を除けて砂のお城を完成させるやり方)
SLM・EBM方式=PBF方式のうち、レーザーや電子ビームを用いる方式。(上記の水の部分)

こちらの方式は、完成品の精度の高さが長所です。そこが構造最適化HiramekiWorksの難所である複雑な形状をしっかりと再現できることで、製品の性能を上げるなどの相乗効果を導きます。一方、本体価格・材料にかかる価格のどちらも高額な点が短所として挙がりますが、HiramekiWorksによって軽量化を行えば、材料コストを削減することが出来るため、材料効率を改善できます。このように、互いの短所を補い合うような効果が考えられます。

2.DED方式(LENS方式)×HiramekiWorks=双方の長所を伸ばし合う相乗効果
DED方式=指向性エネルギー堆積法(イメージ:砂場に、水と砂を一緒に落としていくことで、固まった砂を積み重ねて砂のお城を完成させるやり方)
LENS・DMD・LMD方式=レーザーを用いて金属粉を焼結・溶融する方式(上記の水の部分)

こちらは最近見られるようになってきた方式です。PBF方式と異なり、必要な量を直接積み重ねていくため、低コストで高速な造形が可能です。また注目したいのが、追加加工・異種材料混合が可能である点です。この長所は、HiramekiWorksによって修理箇所を最適化してから加工したり、異種金属を混ぜても最適な形状を製造できるなど、さらなる製品の付加価値向上を見込むことが出来ます。ゆえに、双方の長所を伸ばしあうような効果が考えられます。

このように、HiramekiWorksと金属3Dプリンタは適切に組み合わせることで、より高い相乗効果や相補効果を発揮することが出来ます。2つをただ使うのではなく、マッチングでこうかをばつぐんにする、まさに「虎に翼」のような働きですね(ミーハー)。
最後に、大前提となる、「製品との相性」について簡単にお話しします。

製品との相性について

これまで、3DプリンタとHiramekiWorksの相乗効果について長々と説明してきましたが、実際に使うことを視野に入れると、「じゃあうちで作っている製品には、どの方式×HiramekiWorksがいいんだろう?」となってくると思います。
ポイントは、3Dプリンタの長所と作りたい製品の要素のマッチングも考えることです。例えば、「強度を維持したまま最適化形状を作りたい」のであれば、造形方式は強度の高さを保証するものがおすすめです。ほかにも、「最適化形状を大量生産したい」なら造形速度が速いもの、「大型製品を作りたい」なら大型造形対応のものなど、3Dプリンタの導入には、考えることがたくさん出てきます。それらの一つの軸として、今回お話してきた金属3Dプリンタ×HiramekiWorksのマッチングがあると捉えてもらえると良いと思います。ぜひ、3Dプリンタの活用には、形状最適化を用いてみてはいかがでしょうか。

続く第3回では、金属3Dプリンタで造形することを考えた、HiramekiWorksでの解析事例を紹介します。トポロジー最適化と形状最適化による、3Dプリンタによる新しい設計・造形のイメージを掴む糸口となれば幸いです。また、実際に金属3Dプリンタ×最適化ソフトで作られた製品の実例も何点かご紹介しながら、最終的なまとめをしていきます。


[From A.Kawaguchi, K.Tsukidashi]


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