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技術コラム

【流体】Vol.3 ポスト処理:タンクを洗ってみよう!

2020年04月02日

今回はタンクの洗浄をテーマにしてみたいと思います。
タンクの洗浄と少しマイナーなテーマにしてみましたが、モノづくりでは「3S」が基本ですし、洗い物までしっかりしなくてはいけませんよね。

タンクの洗浄方法といっても、作っているものによって様々な方法があるかと思います。水や溶剤をタンクに入れて撹拌翼を回して汚れを落としたり、洗浄ノズルで洗ったり、開缶できる場合は入缶して高圧洗浄機で洗ったりしているかと思います。内部が見える状態で洗浄している場合は、都度汚れの落ち具合を確認することもできますし、画像処理で汚れを判断して作業完了とすることも可能です。
一方で中が見えないけど洗わなくてはいけない場合、話が少し厄介になります。久しぶりにタンクを開けて中を見てみたら汚れがびっしりついていたなんてこともあるかもしれません。中が見えない状態でどのような洗浄をすれば汚れがしっかり落ちているのか、そういった検討を今回実施してみようと思います。

今回使用するアプリケーションはParticleworksです。
モデルは下の図に示すようなアンカー翼の撹拌容器を対象に考えてみます。
もうすでに洗浄ノズルも設置済みです。

アンカー翼の撹拌容器

今回は2ケース実施して比較してみました。

 1. 洗浄ノズルが上下し、水平方向に回転する
 2. 洗浄ノズルが上下し、ノズル口を斜めにしノズルの自転にシャフトの自転を加えて3次元的に回転する

2のような機構をどのように実現するかは課題がありそうですが、シミュレーションでは回転の親子関係をつければ良く設定は簡単ですので解析してみることとしました。

1,2のケースの解析をした結果の動画がこちらです。




どちらもそれなりにタンクは洗えていそうですが、なんとなくケース2が良いかなと感じます。
そこで、定量的にどちらが良いか判断するために、今回はポスト処理機能の物理量マッピングを紹介しようと思います。物理量マッピングとは壁面メッシュに粒子の物理量をマッピングする機能になります。
瞬時値をとったり積算値をとったりすることが可能です。
今回は接触回数をカウントしたいので積算値をとっていきます。
下の動画はトータルで液体粒子が10粒以上接触した領域から色を付けた結果です。




ケース1はタンク上部が洗えていないことがわかります。
また意外とノズル手前側の壁面が洗えていないことがわかります。
このような視覚的な評価も可能ですし、例えば下のように接触回数のヒストグラムを書いてみることでどちらの洗浄方法が良いか判断できるかと思います。
最適化などを考えた場合一つの特性値の方が都合が良い場合は、例えば接触回数10回以上の合計頂点数を最大にすることを目的変数とし最適化するのも良いかもしれません。

タンク壁面接触回数ヒストグラム

今回のケースでは接触回数の多い頂点が多い方が良いのでCase2(オレンジの線)の方が良いことがわかります。
このように物理量マッピングを使用することで定量的にどちらが良いか判断できるかと思います。

最後に、液体の流れを可視化する方法として流跡線の機能をご紹介させていただきます。
文字通りなのですが粒子の軌跡を追跡した線を描画する機能になります。
流跡線によって注目粒子の軌跡が画面上に描画されますので、どのような軌跡で流れているか確認することが可能です。




これまでご紹介させていただいた内容のように、タンクに限らずいろいろなもので洗浄の評価をしてみるのはいかがでしょうか。
次回はまた別のポスト処理を通じて結果の評価方法をご紹介させていただきたいと思います。


[From K.Watanabe]

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