概要
粒子法流体解析/粉体解析ソフトウェアParticleworks v8.0/Granuleworks v3.0では、MPS-DEM連成解析を行う際に、粉体粒子による流体粒子の体積排除効果を考慮できるようになりました。本コラムでは、液体中に粉体を充填するシミュレーションを実施し、体積排除効果モデルによる液体体積への影響を評価しました。評価の結果、体積排除効果を考慮することで、粉体を充填後の液面高さが分析値と一致することを確認しました。
COLUMN
粒子法流体解析/粉体解析ソフトウェアParticleworks v8.0/Granuleworks v3.0では、MPS-DEM連成解析を行う際に、粉体粒子による流体粒子の体積排除効果を考慮できるようになりました。本コラムでは、液体中に粉体を充填するシミュレーションを実施し、体積排除効果モデルによる液体体積への影響を評価しました。評価の結果、体積排除効果を考慮することで、粉体を充填後の液面高さが分析値と一致することを確認しました。
流体中に粉体が存在する場合、粉体の体積分率が小さければ粉体体積が流体へ与える影響は比較的小さいことが想定されます。一方、粉体の体積分率が大きい場合は、粉体の体積が流体へ与える影響は無視できない大きさになることが考えられます。したがって、MPS-DEM連成解析を用いて粉体の体積分率が大きいシミュレーションを行う場合は、粉体粒子による流体粒子の体積排除効果を考慮した解析を行う必要があります。
Particleworks v8.0/Granuleworks v3.0では、MPS-DEM連成解析において体積排除効果モデルが実装されました。体積排除効果モデルにより、粉体粒子の体積が流体粒子へ与える影響を考慮することができます。
本コラムでは、体積排除効果モデルを実装したMPS-DEM連成解析により液体中に粉体を充填するシミュレーションを実施しました。充填後の液面高さを分析値と比較することで体積排除効果モデルが液体体積の解析結果へ与える影響を評価しました。
解析モデルを図1に示します。ボックス上部に仕切り板を用意し上部に粉体、底部に粉体を配置させました。シミュレーション開始とともに仕切り板を0.025 m/sで移動させることで、液体中に粉体の充填を行いました。なお、ボックスの底面は40 mm×40 mm(底面積 1600 mm)としました。
図1 解析モデル
物性及びその他のパラメータを表1,2に示します。液体体積は0.050 L、粉体体積は0.015 Lとし、粉体が液体に充填しきる2.0秒間の解析を行いました。
表1 液体および粉体の物性
表2 解析条件および解析パラメータ
本コラムでは体積排除効果モデルを有効にした条件(EVE_on)および体積排除効果モデルを無効にした条件(EVE_off)の計2ケースの解析を実施しました。
体積排除効果モデルが液体体積の解析結果へ与える影響を評価するために、粉体充填後の液面高さを分析値と比較しました。液面高さの分析値は次式で定義しました。
解析結果のアニメーションを動画1に示します。動画の左が体積排除効果モデルを有効にした結果(EVE_on)、右が体積排除効果モデルを無効にした結果(EVE_off)です。
動画1(左:EVE_on、右:EVE_off)
各ケースにおける液面高さの経時変化を図2に示します。また、粉体充填後の液面高さの解析結果および分析値、その相対誤差を表3にまとめます。EVE_on、EVE_offの0.3秒におけるの液面高さはそれぞれ29.9 mmであったことから、 = 29.9 mmとしました。したがって、式(1)より充填後の液面高さの分析値を = 39.3 mmと定義しました。
図2 液面高さの経時変化
表3 粉体充填後の液面高さの解析結果および分析値
表3より、EVE_onの相対誤差は1.8 %、EVE_offの相対誤差23.7 % となりました。したがって、体積排除効果モデルを有効にすることで粉体充填後の液面高さが分析値と近しい値をとることが確認できました。
今回のコラムでは、液体中に粉体を充填するシミュレーションを実施し、体積排除効果を考慮した計算結果、および、体積排除効果を考慮しない計算結果を分析値と比較しました。評価の結果、Particleworks v8.0/Granuleworks v3.0において体積排除効果モデルを有効にすることで粉体を充填後の液面高さが分析値と近しい値を示すことを確認しました。
[From Y.Yamanaka]
・ 流体解析ソフトウェア Particleworks (パーティクルワークス)製品ページ
https://www.sbd.jp/products/flow/particleworks.html
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