今回の流体コラムでは、熱流体解析ソフトSimcenter FLOEFDを使用し、回転移動する野球ボールの空力解析の結果を紹介します。
COLUMN
技術コラム
【流体】野球と流体 vol.3 フォークボールの流体解析
はじめに
野球に関する記事を書き始め、今回で第三回となりました。今回も、流体解析を用いて、変化球の秘密を紐解いていきたいと思います。
さて、今回は私が生まれた1997年のプロ野球で大活躍した選手の一人、この年のセリーグの最優秀援護投手に選ばれた「大魔神」こと佐々木主浩さんの代名詞である「フォークボール」について解析を行いました。
フォークボールについて
フォークボールは、変化球の一種で、投手の投げたボールが打者の近くでするどく落下するボールです。
フォークボールの握り方は、人差し指と中指で挟んで投げます。こうすることで、ストレートと同じ投げ方で回転数が下がり、ボールは落下します。
図 1 フォークボールの握り方
解析概要
それでは、実際に解析を行いフォークボールの周りの空気の流れを見ていきましょう。
今回の解析もある速度で空中を回転しながら進んでいるボールを想定し、ボールを回転させながら正面から風を当てて、その際の空力(抗力・揚力・横力)を評価します。
解析モデル
図 2 野球ボールのモデル
図 3 モデルの全体像
解析ケース
今回は、フォークボールにおいて前回のツーシームと同様の条件で解析を行い、結果を比較しました。
解析結果
それぞれの空力解析は以下の結果になりました。
表1 回転数290rpmの空力解析の結果(フォークボール)
表2 回転数2400rpmの空力解析の結果(ツーシーム)
想定通り、ストレート(ツーシーム)に比べて、フォークボールの揚力は小さい結果になりました。
図 4 揚力の時系列グラフの比較
フォークボールの揚力の時系列をみると、揚力がマイナス方向(下向き)に働く瞬間があることが分かります。
これまでのボールの解析と同様に縫い目の位置がボールが受ける空力に影響することが分かります。
図5 横から見たボール周りの流速の分布
まとめ
今回の流体コラムでは、フォークボールの空力解析を行い前回のツーシームの結果との比較を行いました。このフォークボールについて、東京工業大学 学術国際情報センターの青木尊之教授を代表者とする東工大・九州大・慶應大の共同研究チームより、「スパコンTSUBAME3.0」を使った解析結果が発表されています。
参考(※外部サイト):フォークボールの落ちる謎をスパコンで解明 | 東工大ニュース
今後、このように様々なスポーツの技術が科学の力によって解明され、さらに進化したプレーが見られるのも近いのではと期待に胸が膨らみますね。
[From K.Tsukidashi]
解析条件 | |
---|---|
風流入速度 | 147.6km/h |
回転速度 | 290rpm(ツーシームは2400rpm) |
気温 | 20.05℃ |
静圧 | 101325.00Pa |
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