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株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所 様 導入事例

3次元CAD統合型熱流体解析ソフトウェア「Simcenter FLOEFD」導入事例

株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所 様



株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所 システムソリューション部 技術23課
(左上から)照井光彰氏、浜中拓氏
(左下から)高橋那菜氏、課長 長岐陽介氏


「FLOEFDはスピードと再現精度を両立する開発において最高のソフトです。必要な機能が幅広く揃っており、実測評価結果との相関が取れた解析モデルの構築が可能です」

株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所(PSNRD)は、『X-テクノロジで新しい価値を、社会課題の解決を。』の標語の元、電機製品や車載機器をはじめ幅広い分野の受託開発・研究開発を行う企業である。機構設計を担う同社 システムソリューション部 技術23課は、「Simcenter FLOEFD(以下、FLOEFD)」を駆使して熱設計を行っている。同課の長岐陽介課長、浜中拓氏、照井光彰氏、高橋那菜氏にFLOEFDの優位性や活用状況などについて伺った。


熱課題に対する検証手段を持つことは非常に重要

― まず業務内容とFLOEFDの活用状況をお聞かせください。


PSNRDは受託開発、無線測定サービス、製品販売を行っており、社員の9割以上が技術者で構成される技術者集団ともいえる会社です。顧客はパナソニックグループだけでなく、官公庁や自動車、通信、機械、グループ以外の電機など、幅広い産業分野からご依頼いただいています。全国に研究拠点があり、アンテナ・無線、パワエレ・エネマネ、画像・センシング、スマートデバイスの4つのコアテクノロジを保有しており、原理検証から量産設計までを一気通貫で対応できることが強みです。
 私たち技術23課は、これら4つのコアテクノロジを具現化すべく機構設計を担っており、メンバーは本社拠点の仙台および金沢、浜松の3拠点に在籍しています。近年はエネルギーの高密度化や高出力化により熱設計の重要性が非常に高まっており、ご要望にお応えするために技術メンバーの4分の1程度がFLOEFDを活用しております。構造を熟知したエンジニアたちがシミュレーションを駆使し、よい製品を効率的に作り上げることができるということが我々の強みです。


― 具体的にどのような場面で役に立っていますか。


写真:株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所
システムソリューション部 技術23課

PSNRDとして初めてFLOEFDを導入したのは2012年のことです。車載充電器開発に参画した際、半導体の温度を検証したく熱流体解析に取り組んだのがきっかけでした。試作前の検証、課題対策の効果検証を行うためにFLOEFDを活用しました。
 近年需要が高まっている電気自動車の電池モジュール、半導体パワーモジュールや電源装置など、大電流が流れる機器に関する案件が増加し、改めて多くのお客様が熱について課題を感じていることが分かり、活用頻度が高まっております。開発では設計フェーズの要所ごとに、お客様からその構造であることの根拠を問われます。そのエビデンスづくりにFLOEFDでの解析が非常に役立っています。車載機器の実機評価はコスト、時間とも費やすことになるために避けたいものとなり、特に二次電池は実機評価設備も限定されます。そのため、熱課題を検証可能な解析ツールとして大変重宝しています。


熱の検討といえばまずFLOEFD

― FLOEFDの良いところを教えて下さい。


写真:株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所
システムソリューション部 技術23課

私たちが解析ツールに求めることは3つあり、FLOEFDはすべてを兼ね揃えているのが良いところと認識しております。
1つ目は技術者が容易に操作できることです。
当社では解析専門部隊を持たず、設計技術者が設計検証のために解析ツールを使っているため、容易な操作性が必須となります。3次元CADのCATIAのアドオン版を主として使用していますが、GUIがCATIAそのままなので、操作性が変わらず直感的に使用できます。CADデータインポートなどの手間がかかりませんし、データ保存形式もCADデータに紐づいているため共有しやすいです。
また、設計段階では形状変更することが多々ありますが、変更した際でも解析設定が高い追従性で維持できることがポイントです。例えば設計形状の変更やアセンブリ変更を行った際でも、解析設定は前構造での内容が維持され、必要最低限の更新のみで計算することが可能です。このような操作性の良さに加え、構造計画研究所のサポートサイトはコンテンツが充実しており、過去のセミナー動画や基本的な質問がまとまっています。わからない点は問い合わせフォームで気軽に聞くことができます。この点でも、技術者の負担が軽減できています。

写真:株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所
システムソリューション部 技術23課

2つ目はスピーディーに計算結果を算出できることです。

短期開発かつ高品質の確保が求められる時代の中では、設計スピードを落とさず、設計案とその妥当性をスピーディーに検証し、設計根拠を踏まえた開発推進が必要となります。 FLOEFDは流体領域のモデル化が不要である点や、メッシュが形状に影響されにくく解析ツールによくある「メッシュが切れない」ということが非常に少ない点がポイントです。一方でFLOEFD特有の直交メッシュの弱点である曲面形状の計算に対しては、部品や空間ごとに設定可能なメッシュ機能とカットセル機能を活用することで当社独自の解析設定ノウハウを構築しています。さらに、FLOEFDは詳細な条件は予めデフォルト設定が用意されているため、設定ミスによる再設定・再計算の頻度が少ない点も良い点として挙げられます。結果の確認も数値やコンター図はもとより、熱収支の確認なども容易に行えるため解析結果の妥当性の判断がつきやすく、違和感のある結果が算出されてきても原因を絞りやすいです。



3つ目は実測結果を元にした解析精度を高めるために十分な機能を有することです。

解析の活用には実測との相関を取ることが重要となりますので、都度検証することで解析の精度を高めています。FLOEFDは相関を取るために必要な条件設定や再現手法を十分備えております。実機再現のための手法はこれまでの実績から得たノウハウを活用していますが、FLOEFDでは基本的な物性値のほか、接触熱抵抗や異方性素材、ファン、ポーラスメディアなど細かく様々な設定を使うことができます。時刻歴変化を検証する非定常解析も可能であるため、瞬間的に高熱を発生するような事象の再現にも取り組むことができ、再現性の高い解析モデルの構築が可能となっております。

再現性に関する実例を挙げますと、発熱体のジャンクション温度を高精度で再現すべく取り組みを行った事例があります。車載機器等で用いられる半導体部品においては、ジャンクション温度の真値を知り得ることは非常に困難です。そこで、測定可能な半導体パッケージの表面温度などの実測結果をもとに、形状データの詳細化、測定系を含めた伝熱経路の再現を行うことにより、±3℃以内での相関性を実現するなど、精度向上の取り組みが進めてきました。こういった取り組みに対して、FLOEFDは十分な機能を備えているツールと言えます。



▲図:半導体パッケージ詳細モデルでの精度向上事例


 開発はスピードが勝負です。FLOEFDを使えば、設計スピードを落とさず根拠を踏まえた開発が可能です。スピード感を持って検証するには最高のソフトだと感じています。当社では複数の熱流体ツールを使用していますが、やはり何か熱で困ったことがあれば、まずFLOEFDに手が伸びるという状況です。


幅広い内容に対応できる汎用性は当社の業務と相性抜群

― 他の熱流体ツールに対するFLOEFDの特徴としてはどのようなものがありますか。

熱流体計算が可能なCAEは様々なものがありますが、FLOEFDは幅広い分野に対応できることがポイントだと思っています。大型の製品から小型の要素部品まで、また、幅広い製品ジャンルにも対応できます。当社は民生品からBtoBまで幅広い分野の製品を開発しています。設計の上流から下流まで網羅的に対応できるのもポイントであり、そこが我々の業務とFLOEFDとの相性が良いと感じるところです。また、オプションツールの活用により電子回路や電池などの再現もできますので、さらに詳細かつ高精度な解析ができる点も他のツールにはないところかと考えております。

― 今後のFLOEFDの展開予定と、構造計画研究所(KKE)またはツールへの期待や要望があればお聞かせください。

写真:株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所
システムソリューション部 技術23課

当社の開発業務において、熱に関する問題はどうしても避けては通れません。熱解析に取り組み始めた頃は少人数でFLOEFDを活用し知見を深めてきました。今は組織としてFLOEFDを活用し、熱課題へ対応できる技術者を育成するといった裾野を広げていくフェーズに入っており、新入社員の技術研修にも活用しております。活用メンバーがさらに増え、開発の上流から下流まで幅広く展開していくことで、当社の熱流体に関する検証技術でさらなる社会貢献をしていくことが当面の目標です。
 KKEの構造最適化ツール「HiramekiWorks」も活用させていただいていますが、トポロジー最適化・形状最適化により最適な寸法や形状を検討することが可能です。これまでは経験と技術者のセンスで決めていたものを最適値として算出できることは興味深いですし、実際の開発へ活用することで効率化を進めております。しかし、この構造最適化は強度観点のパラメータがベースとなるため熱流体の観点を考慮できません。熱課題においても最適化設計が行える機能やツールが開発されることを強く期待しています。
 今後も開発にはスピードが求められてまいりますので、FLOEFDの持つスピード感にはとても助かっています。これからもそういった良い面を磨き上げていっていただきたいと思います。


取材日:2024年3月  
株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所について 創立:1988年
本社所在地:宮城県仙台市
ホームページ:https://group.connect.panasonic.com/psnrd/
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